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バレンタイン!:ほのぼの:全員
スペシャル
バレンタイン
今日はバレンタインデー。
でも受験生から見たバレンタインデーはもはや受験日から何日前!という怒濤のような日だ。
そんな日に学校に行っても可愛くラッピングされたチョコレートを受けとるのが、ある意味では本当にもてる人なのかもしれないし、女子生徒が受験生だから羽を伸ばそうとイベントに乗って誰彼構わず渡した物かだ。
こういう日は自然と部室に集まって、皆で誰が多く貰ったかで盛り上がるのは良くある。
そして類を漏れずテニス部も、盛り上がるグループだ。
「わん一番やっさ!」
甲斐がガッツポーズをする。
その横では平古場が負けたー!と声をあげた。
「畜生バレキス効果か!」
「そのネタに触れるな!」
某歌に触れると甲斐は面白いくらいに反応を示す。
だがそれは実際甲斐だけでなく、バックコーラスをしていた二人も同じ。
「やめなさいよ、平古場君」
「しゃばだば、どぅわっ」
「ゴーヤー」
「ごめんちゃい」
「わんぬ真似すな!」
「うっせ」
ギャァギャアと騒ぐ人を他所に、知念と田仁志はのんびりとしている。
「あ」
と、騒がしい二人を止める携帯の音楽が流れる。
「わんだ」
携帯をポケットから出す知念。
「あい……え?あぁ、うん」
携帯を切る。
皆が知念を見ているので、知念が電話の内容を伝える。
「ぬーがな、皆わんの家に来るように伝えてって」
「ねーがや?」
「さあ」
「まぁ、行ってみますか」
「そうさね」
鞄とチョコの入ったサブバックを持って、知念の家へ向かう。
自転車をこいでいると、やはり競争が始まる。
「おらー!いっちばんやさー!」
「負けるけぇっ!」
「負けませんよ」
「わんは無理さぁ」
凛の自転車が壊れたままな為に唯一二人乗りをしている知念と凛は競争に加わらず、普通にペダルを漕ぐ。
すると3人はどんどん小さくなっていった。
「凛君」
「ぬー?」
「自転車買って」
「次買うのは原チャさぁ」
知念がため息をつくが、凛には聞こえない。
ようやく着いた知念家には、何故か皆のお母さんがいた。
どうしたんだろうと皆目を瞬かせると、母親はせーの、と息を合わせてこう言った。
「ハッピーバレンタイーン」
良い年こいた母親が何を、と特に木手が嫌そうな顔をするが、差し出された包みを代表者である木手が受け取る。
「何ですか?」
「良いから開けるさぁ」
木手が振り返って他の四人を見る。
他の四人は頷いて、木手の手元をじっと見た。
包みを開けると、そこには旅行会社のパンフレットと、何やらよく分からない物。
「何ですか?」
再度問う木手に、母親たちは微笑んだ。
「全国大会に行ったご褒美とバレンタインを合わせて、皆で出し合って計画立ててたの」
「海外旅行。春休みに行っちゅーさ」
「しんけん!?」
「しんけんだばぁ!?」
「あっぱーに二言はない!」
木手の手元に凛と知念と甲斐と田仁志が食いつく。
そこには確かに旅行会社のパンフレットと、それから保険の契約書。
「だから前、わんの生徒手帳貸せ言ったんかぁやぁ」
「そうやさ」
「イタリヤさ!一番料理美味しいって言われるんどぅ」
「また慧ったらすぐに料理に走って」
「どんな所か想像できんさぁ」
「とりあえず寒いわよ」
「準備しなくちゃな!」
「まだ一カ月もあるわよ」
皆がぎゃあぎゃあ騒ぐ。
チョコレートより何より嬉しいプレゼント。
5人はもはや今日がバレンタインだということを忘れて、春休みの話題で持ち切りになった。
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