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「ただいま、」
「おー、お見事でさァ」
つーか山崎やられてんじゃねェですかィ。まーた護られてやがんの、面白い。
「総悟!手伝ってやれ、」
「何でィ、アンタも戻ってきたんですかィ」
前言撤回、やっぱ面白くねェや。
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クソが!女一人、護る事が出来ないなんて…それどころかトッシーまで救いやがって。いやまぁ、俺だけど…俺だけども!
なまえが低い声で吐き捨てた瞬間、蘇った記憶。煙草吸ってバイク乗り回して補導し続けたあのクソガキが随分と良い女になってやがったなんて。とりあえず今日は寝ようと自室の扉を開けた途端、混乱するしか出来ない。
「何じゃこりゃァァァァァ!!!」
部屋には壁一面、なまえの写真が貼ってあった。
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逸る気持ちを抑え、ゆっくりと…伝えたい想いを呑み込み、隊服を脱がせて介抱する。
「うっ…なまえ、」
「動かないで、死ぬよ?」
「お、れ…」
「いいから!動かないで…」
ポロポロと泪を零して悲願する。
「あ、い、してる…」
「っ、…」
死なせたくない、ただ其れだけなのに…私の愛しい人は死にそうな声で言い放ちそっと瞼を閉じた。
やっと聞けたその言葉は囁きか呻きか、だけど…(死にそうな声で聞きたくなかった)