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「どうでィ」
「ありゃ、無理だね。この格好でも到底」
昨日散々、明日までに思い出しておけとは言ったが山崎は全く思い出す様子もないみたいでィ。
「面影くらいは残ってるかと思ったんだけどなぁ…」
「まぁ、最初に屯所来た時も全然気付いて無い様だったしねィ」
「そうだね、あの頃作戦は失敗かもしれないね」
半ば諦め気味で考えても考えても、いや、考える程嵌る。
「着いたよ、総悟。お爺様、お久しぶりです」
「どこのジジィなんでィ、」
私のお爺様!と、コイツは微笑んだ。死んでんじゃねェですかィ………
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私の大切な人、みょうじ家のお爺様。小さい頃からずっと徳川家に縛られた私を普通の孫として可愛がってくれて。死と言う物を受け入れられずお葬式にさえ行かなかった。否、受け入れたくなかったのだ。
「銀時にね、言われたのよ」
“お前の初恋は俺じゃねェ、”
「は?」
「前に進め、受け入れろ、目を逸らすなって」
「何が言いたいんでィ」
「お爺様の死を受け入れる。可愛くない自分も、受け入れる。勿論私の初恋も、ちゃんとあの人だって…退だ、って受け入れる」
他人に気付かされるなんて、らしくないけれど(変なところだけ勘が良いのよね、アイツは)