拝啓、カミサマ | ナノ
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征治郎と玲子ちゃんがデキてたのも驚いたけど、それ以上に吃驚したのは本当に父上が母上を言いくるめた事だった。いつもは大人しい父上だけど物凄い剣幕で母上に私の婚約破棄を迫ったそうだ。母上は“貴方がそんな強気で言ってくるなんて、なまえの事を大事に思ってくれているのね”とあっさり承諾したようだ。


「で、これからどうすんですかィ?」
「婚約も無くなったし、玲子ちゃんも寿退社するみたいですしね。次採用した女中が一人前になるまでは私も女中業やりますよ」
「いやいや、そうじゃなくってだな…」
「そうでさァ。土方さんの雑務はヤツに押し付けちまえば良いんでさァ」
「総悟、それも違うぞ…」


近藤さんの事だから十中八九退との関係についてだろう。あの日、あの時の表情で彼が嘘をついていた事くらい分かっていた。自惚れじゃなければ本当は私に好意がある事…じゃぁ何故彼は私を振ったのか、本当の理由が知りたい。だからストレートに事が進んでは困るのだ。


「近藤さん」
「何だ?」
「婚約破棄した事、退には言わないで下さい…」
「何故なんだ?婚約破棄して喜んでると言う事はまだ山崎が好きなんじゃないのか?」
「えぇ、嫌いになんかなれませんよ」
「なら!」
「近藤さん、なまえの気持ちも汲んでやりましょう。俺が見るに山崎もなまえを嫌いになんかなってないですぜィ」
「だったら尚更じゃないか!」
「近藤さんお願い!私ちゃんと確かめたいの!」


心を乱した罪人を罠にかけて仕留めましょう
(そこまで言うなら仕方ない、)(どんな復讐するんですかィ?)(何故バレてる…)
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