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あれから副長が士気が下がると言い、退と私は見回りも業務も全てずらされた。退には食事の時間もはかられたようで会うことは一切無かった。縺れた糸はほどける事無く、明日になれば私の二十歳の誕生日、そして結納である。色々心配してくれたから近藤さんには事情を話した。結納は本当だけど何年も昔の話だから今は分からない事や、銀時との会話の内容は退に対する当て付けだと言う事も。
「それで…本当に良いのか?」
「今更、どうしようもないですから」
「しかしだなぁ…」
「近藤さん入りやすぜィ、客人連れて来やした」
「客人?」
総悟が局長室に連れて来た人物は私がよく知るあの顔、そして見たくも無い奴だった。
「…征治郎?」
「おや、僕の顔なんてすっかり忘れていると思ってたけどねぇ」
「なまえちゃん、この人…」
「婚約者、らしいですぜィ」
「本日は局長殿となまえさん、お二人にお話がございまして、こちらに参りました」
ちょっと待て!話ってやっぱアレか!?婚約者だから私掻っ払うぞーってゆーアレかァァァ!!
「まずはなまえさん…この度の婚約、無かった事にしませんか?」
「ハイィィ!?」
「お父上から話は伺いました。それに僕にも同じ様な方が居るのでね」
「そうなのォォォ!?」
一瞬覚悟した私を返せ…!と言うかいつの間にそんな人作ったんだよ。
「そして局長殿、こちらにお勤めの玲子さんについてですが」
玲子ちゃんは私と同期の女中の子。つーか何でアンタと知り合いなんだよ…
「三枝さんが何か?」
「えぇ、僕の嫁に頂きたく、ご挨拶にと」
「「エェェェ!?」」
「ま、そうなりますよね。とどのつまり、婿入りお断りって事です。嫌がっていたなまえさんも僕と婚約しなくてハッピー、僕も玲子さんと結婚出来てハッピー…ハッピー祭りです」
ずずず、と冷静にお茶を飲みながらハッピー、ハッピーと言いまくる征治郎。どこかの芸人みたいだったけど、今回ばかりは感謝するわ、マジで…
「今まで散々縛り付けていたようですしね、これは…」
僕から貴女への誕生日プレゼントですよ(サンキュー!)(どーなってんの?総悟…)(さァ…)