黙れアバズレ。 | ナノ

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「よォ、朝帰りか?アバズレ、」
「た、だだいま…」
「頭冴えてんならさっさと着替えて仕事しろ!」

目が笑ってないよ怖ぇよ…着替えてくるから!仕事もするから!十四郎を怒らせたら何されるか分からない。
私は着替えて髪も結い瓶底の眼鏡を掛けて仕事モードオン。勿論瓶底の眼鏡は仕事の時だけである、実際は重いし嫌だ…

「で、どうだったんだ?」
「へ?」
「首、」

トントンと指でなぞられ意味を把握した私は昨日を思い出す。

「…めちゃくちゃ良かった」
「で、付き合うのか?」
「今のトコは無いかなぁ。それに逃げて帰ってきたようなもんだから」
「逃げた!?なんでやねん!」

急に関西人になるな!いやまぁそりゃあれから五回戦もすれば身体の相性が良いって事くらい解るけど。実際のところは良すぎたのが怖くて逃げてきたようなものだ。

「好き、ってゆーのとはまた違うって言うの?なんかまだ解らなくて…」
「まぁ良い。前も言ったが屯所の男は絶対禁止、」
「はーい」

ここの男でイケメンなのはあんたくらいだけど、幾ら何でもお断りよ!それに局長はゴリラだし総悟は弟みたいなもんだし、ある訳無い。
そんなこんなで?朝帰りの応酬と言わんばかりに山積みの書類を抱えて廊下を歩いていたら聞き覚えのある声。まさかと思って目線だけ配らせると、そこに居たのは朝まで一緒に過ごしたあの男だった。

「ととととと!とーしろサン、」
「何だ」
「どうしよ…屯所の男、だった…」
「死ねアバズレ!」


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朝目が覚めると女はいなくなってた。なんだよ逃げやがってと文句を言ってやりたいが電話番号はおろか名前さえ聞いていなかった。けれどあぁ、胸柔らかかったなとか腰つきが何とも言えんかったなとか、そんな事ばかり考えてしまう。まぁいい、またあの店に行けば逢えるかもしれない。そう言い聞かせて屯所へ戻ると沖田隊長がそこにいた。

「おー!朝帰り二人目ー!」
「………。」
「ザキの癖に朝帰りかー、ザキの癖にィ。お前は今日からエロ崎でィ」
「私欲にまみれた獣みたいに言わんでくださいよ!」
「で、どうだったんで?」

これは喋るまで逃げられない…俺は降参するしかなかった。

「ひっっっじょーに!良かったですとも!綺麗だしスタイル良かったしエロかったですし!」
「へぇ、そいつは良かった良かった」
「聞いといて棒読みやめてくれません?」

消化不良どころかあれだけヤったらスッキリしたのには変わりないし仕事も捗りそうだ。少し足取りが軽くなりながら進むと前から副長と書類?じゃない…書類持った人だ。あれ、こんな人うちにいたっけ?

「とーしろ!重い、手伝って!」
「やなこった、テメェで持ちやがれ」
「ぐぬぬ、」

しかも女かよ…

「沖田隊長、あれ…女ですよね?」
「あぁあれか。女だけどアレだけはやめときなせィ、」
「俺に選択権無いんですか、流石にアレは…」

牛乳瓶の底みたいな眼鏡して化粧っ気も無くて…色気もクソもありゃしない、あぁ言うのが恋だの愛だの一番重いタイプだね。

「幼少期にとっつぁんに拾われて俺らも顔馴染み…だから土方さんにもあんな態度なんでさァ。まぁ土方さんの方も気兼ねなく貶してますけどねィ」
「貶してるって何ですかそれ…」
「知らねぇ方が良い事も…ある」
「ちょっと待て何で躊躇った!めちゃくちゃ気になるじゃねぇですか!」
「言ったら俺が殺られる…」
眼鏡の下はだいたい隠し事ばっかり

(あの沖田隊長が震えてる!?)

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