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カタカタカタカタ、ターン!
「よし終わりっと」
今時紙の書類ばかりだなんてホント遅れてる。ここに来てあまりの書類の多さに脱帽し殆どデータ化したけれど昔の文献が多過ぎて二年も掛かった。今日も既に外は暗くなっていて。
「お腹すいた…」
食堂を片される前に行かなきゃと思うけど足取りは重い。昨日寝た男がいるかもしれないのだから。いませんように!と祈りを込めて向かうと嫌な予感は的中していた。今日、晩御飯抜こっかな…
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みょうじなまえ、二十七歳、独身。身寄りはおらず幼少期に松平家に引き取られた孤児。入隊後表舞台には出ず、ずっと書類案件を捌く仕事ばかり。
調べども調べどもこれしか情報は出てきやせん。タイプじゃない子を調べるなんて柄じゃない…ましてや仕事でもねーし。けどあの沖田隊長が震えていたくらいだからと好奇心だけが働いた。食堂で晩飯を貪っているが気になりすぎて全く味がしない…
「おーい!こっち空いてやすぜィ!」
って何で呼ぶんだよ!ドS隊長ォォォ!こっちに来るな牛乳瓶!
「お疲れ。今日早いね」
「なまえが遅いんでさァ、どうせ書類整理しかしてないくせに、朝帰りのくせにィィィ!」
「殺されるぞ、総悟」
「あ、お疲れ、とーしろ!」
副長ォォォ!て言うか何なのこの人達、俺無視?それとも空気ィィィ!?
「どうだ、書類の方は」
「後ざっと一週間ってとこかな?長かったわ、うん」
「お見事でさァ、さすが二年間篭ってただけあるゥ!」
「お前マジで殺されるぞ…」
二年も篭ってたの!?ある意味すげぇよ!そりゃ存在が解らないはずだ…
「んで、ソレ終わったらどうすんですかィ?」
「前線部隊だ、」
「先週から慣らしで少しずつ出てるよ」
「え?」
「あ、いたのか」
「いたのかじゃねーよ!ずっといたわ!最初からいたわ!つーかこんな子が前線!?大丈夫?真選組大丈夫ゥ!?」
「大丈夫も何も、大丈夫だから言ってんだよ」
「そーでさ、牛乳瓶の底舐めんなァ?叩くと痛いんですぜィ?」
「そーゆー事じゃねェェェよ!」
「ぶはっ、ははは!」
「アンタも何笑ってんですか!死ぬかもしれないんですよ!?」
ホント、ここの人達はイかれてる。二年間も篭ってた人間が、ましてや女が前線なんて危な過ぎる。そんな俺の固定概念をこの女は一言でぶち壊した。
「大丈夫ですよ。だって私…人、殺めた事ありますから」
笑顔の裏も隠し事ばっかり
(嘘ォォォ!?)