黙れアバズレ。 | ナノ

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次から次へとどいつもこいつも…廊下から耳に入る足音は二人。一人は十四郎、もう一人は……

「なまえ〜〜〜!」
「とっつぁん!今アイツ仕事中だから!イライラしてっから!」
「When I talk. I'd say that I don't correspond!!!」
「!?!?!?」
「なまえちゅわぁ〜ん、日本語でオーケーィ、」
「お見合いはしないからね、お父さん」
「あれー暴露てやがる。そんな事言ってもテメェも歳だろ、良い加減腹括れェ。今日連れて来てっからァ」
「嫌ぁぁぁ!」

近頃来る時は専ら見合いの件ばかり。だからこそ嫌だった…それなのに首根っこを掴まれ、あっさりと部屋から引き出される。この人は私の気持ちも何もかも壊していくのだ。後ろに引っ付いていたはずの山崎さんですら唖然として固まっていた。


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破壊神・松平片栗虎、みょうじさんの養父。そして真選組を作った警察庁長官。その娘の背後から抱きついたところを見られでもしたら、きっと切腹を言い渡されるだろう…そんな思いも裏腹、俺には目もくれず、とっつぁんはみょうじさんの首元を掴んで連れて行った。頭を抱える副長と共に応接間へ足を運ぶと、いかにも家柄の良さそうな男がおり、当のみょうじさんは呆れた顔で仕方なく座った。

「なまえさん、ご趣味は?」
「読書かしら。様々な文献はとても心が踊りますわ」
「ああ!漢文書の現代訳もなされてるとか」
「えぇ、」
「では、お料理…は?」
「する様に見えます?ふふ、」
「話題変えましょうか…では、好みの男性は?」
「強い人でしょうか…」
「ならば!私がぴったりではないですか!生涯かけて貴女をお護りしましょうぞ!」
「あら、では手合わせ願えますか?」

そう言うと何処から出してきたのかみょうじさんは木刀を手にしていて、にっこり微笑んで懐に一撃をかます。って、何アレェ!?クッソはえェェェ!瞬殺もいいとこだわ!

「お前、そんなんじゃ一生嫁行けねェぞ…」
「いーもん」
「仕方ねー俺が嫁に貰いまさァ」
「弟はお断りでーす!」
「つーかお前より強い男なんて早々居ねェぞ」
「馬鹿なの?私の好みはね、性欲が強い男よ」
「黙れアバズレ。とっつぁんが泣くぞ」
「適齢期なんだからちったァ考えてくれェェい。嫁に行けるか心配でならん〜、ぞ」
「お父さんいたの…一応コレでも今彼氏いるから」

彼氏居るのォォォ!?この間別れたって言ってたよね!?あれ?聞き間違い?

「え?いんのぉ?じゃぁソイツで良いじゃねーか。テメェはテメェの好きな奴と結婚しちまえ」
「良くないでしょ!だって私は!」
「お前は気負い過ぎなんだよ、」
「…………。」

みょうじさんが黙り込んでしまった理由も、彼氏がいると言う現実も、この時の俺が全て飲み込む事は出来なかった。何も…何一つさえ、俺は彼女の事を解っていなかったのだから。
知ったつもり、でしかなかった

(私の気持ちなんて知らないくせに)

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