黙れアバズレ。 | ナノ

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「レンタル彼氏ィィィ!?」
「これは仕事の依頼よ、万事屋さん」
「待ってくれ、」
「やっぱり駄目かな?」
「レンタルじゃなくて買い取らない?…フゴァッ!」
「フリだけって言ってんでしょうが!クソ天パ!」

そう、フリだけで良い。彼を私から遠ざける為。毎日毎日掛かってくる電話も然りだけど瓶底眼鏡の時も最近はよくちょっかい出してくるし。それ以前に屯所の男は誰であろうと駄目だから。万が一、私が本気になったとしても諦めなければいけない。手遅れになる前に私の中からも彼を消さなきゃ…

「しゃぁねェ、んじゃ一つ良いか?ターゲットは誰だ」
「ターゲット?」
「お前がヤった奴!レンタル彼氏依頼してくるたァ、そいつに諦めさせんだろ?だったら誰かわからねーとやり様もクソもねーだろ、ったく」

確かに銀時の言う通りだ。知らなければ真選組全員、容疑者みたいなもの。それにこの依頼には十四郎をはじめ協力者が必要不可欠。

「すっっっごい地味だから知らないと思うんだけど…」
「分かった気もするし聞きたく無い気もするぞ」
「…山崎退って言うの、彼」
「マジかよ…知ってるわ」
「知ってるの?」
「つーかよりにもよってアイツ!?めっちゃ地味じゃん!めっちゃ童貞感丸出しじゃん!」
「いや、すごく上手かったよ…」
「聞きたくねェェェ!それ以上言うな!引き受けるから!レンタル彼氏やるからァァァ!」
「お、ありがと!」

知ってたなんて意外だけど引き受けてくれて良かった。幾ら万事屋とは言えただの飲み友だし巻き込みたくは無いと少しは躊躇していたから。

「いきなり彼氏丸出しで行ったら十四郎と総悟に殺されかけないし、取り敢えず私から説明だけはしとくね」
「殺されかねないって何で?何か怖いんだけど」
「うちの上司と弟は私の事になったら人を殺す、かもしれない…」
「同い年の上司って土方君ンンン!?」


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「レンタル彼氏ィィィ!?」
「何ですかそれ彼氏役なら俺で良いじゃないですかィ」
「総悟じゃ駄目だから言ってんじゃん…」

銀時のところから帰ってきて瓶底眼鏡を装着しながら説明を始める。二人は混乱しつつも、きちんと趣旨を言ったら解ってくれた。山崎退に引いてもらう為、そして私が流されてセックスしたりなんかしない為に。

「で、そのレンタル彼氏って誰だ」
「まさかとは思いやすが…」
「万事屋さんだよ?」
「やっぱあの時旦那斬っとけば良かったでさァ」
「あの時って何ィ!?」
「姉貴の飲み友らしいですぜィ」
「あンの腐れ天パ…なまえ、屯所の男も禁止だがあの男はもっと駄目だやめとけ…」
「だから彼氏のフリって言ってんでしょうが!もう!」
「あのー、お取り込み中悪いんですけど…」
「みょうじさんに客人です」
「お客さん?」
「門前払いしようかと思ってるんですが、しつこいくらいみょうじさんを出せって煩いんですよ」
「もう面倒だから行ってこい」
「はいはい、お父さんは煩いですねー」
「誰がお父さんじゃ!」

客とやらを見、軽々しく表に出るんじゃ無かった…そう後悔せざるを得なかった。
招かれざる客

(お前かよ…)

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