正シイ御薬ノ勧メ | ナノ
「盛られた…」


畜生め…あんな奴でもたまには優しいなと感じた自分自身を責めた。さっきまで胃が重いだの痛いだの、騒いでいたのが阿呆らしい。季節は真冬だと言うのに、胃の事なんてどうでも良いくらい身体が熱くて仕方ない。
きっと山崎は私の事なんてどうとも思っていないのだから単に悪戯の類いだ、きっとそうだ。毎日毎日罵詈雑言を浴びせあっているのだから頭に来たってこれもまた仕方の無い事なんだろう。
温くなったペットボトルの水を口に含み少し考えようとしたけれど、考えすぎて口の端から水が溢れた。胃薬と偽って媚薬を飲ませるだなんて一体何が目的だ。
快楽に溺れんとする同僚の裸を見て何を思う、女の部分を垣間見て嘲笑うのか?けれど今日だけは山崎の計画にノってやっても良いかもしれないなぁ…なんて。ただ嘲笑うのは此方の方だ…拗らせた女は厄介だと言う事を思い知らせてやる。それから溢れた水で濡れた自分の隊服がチラリと見え、これはこれで我ながら艶かしかった…



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勢いよく開かれた襖が音を立てる。そろそろ良い頃合いだし来てくれるかもなんて淡い期待と共に女は現れた。


「やぁ、胃の調子はどう?」
「おかげさまで…」


ありゃ、もしかして量少なかったか?と思ったのも束の間、一見何とも無さそうに見えたみょうじは其処で倒れた。


「はぁ…ぁ、あっ…」
「何?まさか解ってて態々来たの?」
「…そ、うよ」


嘘だろ、あのみょうじが…俺に対して決して笑わず軽蔑の眼差しを向けてくるあの女だぞ。それがまさに今目の前で俺を欲してるなんて…いや、実際にはまだだけど。吃驚して声も出ない俺をよそに、みょうじが迫ってくるのを感じた。何をどうすればそうなるのか胸元だけが濡れた隊服がやけに唆る。


「シて、くれ…ない、の?」
「………。」
「じ、ゃ…良い。とう、し、ろ…んとこ、行く」


副長の名前を出すなんて、まして下の名前で呼ぶような仲だったとは。頭に来て必死に立ち上がらんとするみょうじの腕を此方へ思い切り引っ張ると勢い余って俺は後ろ手を着くような体勢になり、みょうじがその上に覆い被さった。


「じゃぁ舐めてみろよ。そっちから誘って来たんだから」
「ん。わかった」


オイオイオイ、嘘だろ…と本日二回目のツッコミ。しかしまぁ幻覚にしてはリアル過ぎやしねぇか…いやこれ現実か。静かな部屋に俺が纏う隊服のチャックの降りる音だけが響く。やり辛いからか嫌じゃなければ脱ぐ様にと言われたが、俺から脱いでやるもんか。あんたが脱がせなよってね。またしても分かったと従順なみょうじは薬の所為か頬も赤らめて、くちゅっ、と俺のモノを愛おしそうにキスしてから口に含んだ。右側の髪だけを耳にかきあげる仕草も何もかも、その光景に喉を鳴らしている。だが生々しい音と共に離れ口元から滴るソレをみょうじはじゅるっと吸い上げた、イマココ。


「勝手にヤメんな」
「んぁ…ちが、う」


右脚をスカートの中へやりみょうじの芯に触れる。さすが押収したやべぇ薬は効き目が違うや、ズブ濡れだ。反応が愉しくてニヤリと口元が緩んだがやめるつもりは到底無い。するとみょうじが濡れた隊服を脱ぎ始めた…正確にはシャツのボタンと下着のフロントホックのみを。全部脱ぎ捨てない辺りが余計厭らしいし、その核心だけはこんな時でも隠している。


「他の男にもこんな事してんの?」
「教え、ないっ…んっ、」
「どうだか、」


自分で自分の胸に手を添えて俺のモノを間に挟む。そしてチロチロと先端だけを舐める舌先も、その感覚さえ溺れてしまうのではないかと錯覚する程熱を帯びていた。副長にこんな事をしてしまったらきっと病みつきになるだろう…と言うか俺がそうなりかけている。くそ、エロ過ぎだろ…
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