らぶはぐ | ナノ

からっぽのこころ、からっぽのあい

彼女は知らない、俺だけが知っている。知られている事を知りもせず先日の続きをしましょうとのこのこやってきた…彼女は憐れだ。


「明日からですか?」
「うん。暫く会えない」


淋しいですねと虚ろな目で笑った。本当はちっとも思ってやいないだろ?きみが好きなのは副長だろうにどうして可愛がられに来るかね。複雑な心境で、なまえちゃんと副長、恋仲だよね?と声に出して聞いてしまったじゃないか。仕事の壁を越えたやりとり、そして昨晩副長の部屋から出てきた決定的な場面を見てしまったのだと。そしたら困った顔でやれやれ、山崎さんに隠し事は出来ないですね…なんてまた笑いながら続ける。


「あのあと別れを告げてきたんです。もう私は抱かせないって、」
「抱かれたの…?」
「何度か。それ以上の感情はありませんよ」


きっぱりと吐き捨てた。それ以上の感情…つまり好きでもないのに抱かれていたと言う事になる。その上、俺の練習台を自ら買って出るなんて呆れるね。彼女に対してもそうだが、それを簡単に呑んでしまった俺自身にも。


「好きでもないのに抱かれるの?」


頭で考えるよりも早く身体が動き出す。彼女を組み敷き、纏うものすべてを剥ぎ取る勢いで。こんなにも好きなのに肝心の気持ちは伝えられず、事実を突き付けられたらやめられるはずがない。


「ちょっと!や、めっ」
「むり、いやだね」
「やまざ、きっ…さん!」


本能に身を任せ這いずり舐めると時折漏れたなまえちゃんの声が俺を昂らせる。首元に噛みついたあとは白く透き通った膨らみに吸い付いた。せめて痛みを感じないようにと秘口も愛撫してみたが、恐怖からか微塵とも濡れてきやせんのだ。イタイ、ヤメテ…と微かな呻き声は俺に届かない。次第に高く細い声になっていき頃合いを見て埋め込むと、熱を帯びた自身が狭い膣内を巡り互いに息遣いが荒くなってゆく…


「ねぇ…好きでもない男に抱かれるって、どんな気持ちなの?」
「っ、はぁ…も、やめて…んっ、あぁあ!」
「なまえちゃん、俺もう…っあ、くっ…」


涙目のなまえちゃんを見つめながら俺は“初めて”を捨てた。遠い昔に決めた“好きな子”で。ただひとつ想いと違った事、きみは俺なんか見てやいない…それだけが胸をつかえた。
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