こんのすけの今まで、これから。






こんにちは。突然失礼いたします。私はこの本丸付きの管狐、こんのすけと申します。みなさま、現世は暑いとお伺いしておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

私はこの本丸に就任してから色々なことを経験致しました。
実は、それを忘れないように記録している日記のようなものが御座います。
皆様に今日はそれを少しだけお見せしたいと思います。
…お付き合い頂けたら幸いです。




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◯月△日

新しい審神者様と出会いました。
ふわふわとした安心する笑顔をお持ちの、素敵な方でした。
汚れも淀みも、痛みだってもうありません。本部で綺麗にした筈なのに、辛いでしょうと審神者様に抱き上げられた時、とてもあたたかいものを感じました。
柔らかくて、暖かい。見上げると主様はわたしの毛並みを嬉しそうに優しく撫でて下さいました。

ですが、刀剣男士の皆様と個人面談をする、と言い出したり、どうやら優しいだけの方ではなさそうです。



◯月◇日

油揚げの煮物、焼き、白米、味噌汁、その他数種のおかず。

主様は料理がお得意でいらっしゃいます

はぐー、こんのすけはこんな方に出会えて、しあわせものです




◯月☆日


主様が刀剣男士の皆様の手入れをなさいました。
鶴丸国永殿と喧嘩まがいの言い合いをした時はとてもヒヤヒヤいたしましたが、無事に手入れが出来ました。


力を使い過ぎたのか、今は眠ってらっしゃいます。

元々政府からは特S浄化能力の持ち主と伝えられていましたが、主様は人間。限界があったのです。

ですが、その助け出す様に感動をしてしまっている自分も居ました。
こんなにも私達のために身体を犠牲にしてまで助けてくれるお方がいるでしょうか

きっと、私がこの本丸で拘束されている時にお越しになられていたら、涙を流しながら助けてくれたのでしょう。
きっと、前任者がああなる前に止めてくれていたのでしょう。


主様。

こんのすけは、主様のお側にずっと居たいと思います。


△月◯日



小狐丸殿に揚げを奪われました。許すまじ



△月◇日


お風呂に主様と一緒に入りました。
こんのすけめは嫌がったのですが、主様は一緒に入った方が楽チンですよと笑いました。

獣用のしゃんぷーなるものをして頂き、毛並みがふわふわです。
ですが小狐丸殿が恨めしそうにこちらを見つめていたのを私は知っています。
主様、気付かないで!



△月☆日

主様は加州さんを連れて帰ってきました。

それからというもの、加州さんは主様の後ろを付いて歩いています。 まるで、ひよこのよう。
こんのすけは少しだけ撫でてもらうことが減り、少しだけ寂しく思います。

和解したばかりの皆様はいつもこうやって後ろをついて歩きます
主様も、微笑ましいのか時折振り返って頭を撫でます。
私も撫でられたいです。



◇月◯日

主様がこんのすけ用の寝床を買ってくださいました。
主様のお布団の端を今までお借りしていたのですが、獣用ベッドにこれから寝るといいですよ、と。

ふかふかで、はじめての自分の寝床。
……嬉しいはずなのに、ちょっとだけ残念でございます。


◇月△日

政府も無茶な事を言いなさる。

演練への参加要請なんて。この状況をわかっているのでしょうか?
元はと言えば、この本丸を政府が放棄したから主様が尻拭いをする羽目になっているのではないのでしょうか。

主様に、お断りをしましょう!と進言を致しましたが、んー、担当さんにはお世話になっていますし…と苦笑いをされてしまいました。


もう!



◇月☆日




「ね、アンタあの本丸のこんのすけだよね?」
「おや、これはこれは相模国の朝霧殿ではありませんか。お久し振りでございます」

「…ねえこんのすけ。アレ、なに?」


主様が演練の控え室に向かうその道中、私だけロビーに引き止められました。

ベテラン審神者で戦績も充分、統率の取れた本丸運営と霊力もSランク。
実力者の一人である朝霧殿は、前の本丸だった時も何回か演練でお世話になっておりました。
訝しげに探りを入れる朝霧さん。

朝霧さんだからこそ、気になるのでしょう。
私達の昔を見ているから。


「新任の主様でございます。」


「そーゆーのが聞きたいんじゃなくて、なんであんなのが新人なのかって話よ!
化け物みたいな力じゃない!アンタらまた操られたりとかしてんじゃないの?大丈夫?」

「朝霧殿、ご心配は有り難く頂戴致しますが、我らの主様を化け物′トばわりするのはご遠慮頂いた方が賢明かと思います」


うしろ、居ますよ?


そう言えば朝霧さんは目を見開いて、驚いたような、諦めたような。
はあ、とひとつ溜息をついて降参、と手を挙げました。


「なんの思惑か知らないけどさ、あたしとだけは当てないでよね。今月、演練100パー勝率目指してんだから」
「恐らく当たる事は無いかと思われます。…ご心配頂き、ありがとうございます」
「ま、幸せにやってんなら何よりだわ。あたしに怒るって事は、操られても居ないんだろうし」


じゃあ、またいつかねー
とひらひら手を振る朝霧殿を見送り、私は長谷部殿と向き合いました。

「主が探していた。早く行くぞ」

同じ主様を持つもの。その信頼感以上のものはありません。
私は長谷部殿の肩にひらりと乗り、主様の元へと向かいました。



「あら、こんのすけさんおかえりなさい。やっぱり演練前に腹ごしらえをすることにしたんです。こんのすけさんもいかが?」
「いただきますー!!」


この主様に仇をなす者が居ないよう、これからも色々なところに目を配ろうと思います。






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今日の記憶の振り返りはここまでにしておきましょう。


こんのすけの日記、如何でしたか?そんなに対してすごい事は書いて居ませんが、私はこれからもこれを続けていこうと思います。
楽しかったこと、つらかったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと。

これから塗り替えていくその日々を、その感情を忘れないように。







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