微笑

承太郎が名前を初めて見たのは、娘の6つの誕生日だった。
家で賑やかに友達を呼んでパーティがしたいと言った徐倫に妻が賛同し、記念日くらいたまには家にいてちょうだいと言われて出席した。
仮にも娘の誕生日であるし、承太郎も自分がいることで喜んでいる娘の姿を見るのは嬉しかった。娘の大勢の友人達はやはり子供らしくバタバタと賑やかでやかましかったが、その中で名前はどこか浮いた子供だった。
気がつけば徐倫の近くにいて、徐倫が話しかけると嬉しそうに話す彼女は物静かで可愛らしい子供だった。

「あ、じょりーんちゃんのおとうさん」

たまたまお手洗いを探していた彼女を連れて行ってやると、トイレから出た彼女は恥ずかしそうにお礼を言った。どういたしまして、と答えると、彼女はどこかホッとしたようによく喋った。

「じょりーんちゃんのおとうさん、すごくかっこいいね」
「ええー!わたしのおとうさんが!?」

気の抜けるような声で徐倫と話している彼女が徐倫の友達の中で一番可愛らしいと思ったのは、子供という生き物が苦手な自分が好感を持てる程に彼女が礼儀正しくておとなしかったからかもしれない。
二度目に彼女を見かけたのは、彼女が13の時だ。随分と大きくなった彼女はよく妻と徐倫んと3人で仲良くしているらしく、たまに帰ってきた承太郎に驚いた様子は見せるも、お邪魔しています。と鈴のような声で答えた。
肩ほどの黒髪を揺らして、緊張で薄っすら白い頬を染めた彼女は徐倫より随分年上に見えて、大人しく微笑んで承太郎の話に相槌を打つ。徐倫と同世代の女の子達とは違う、どこか艶っぽく神秘的な雰囲気に気付けばその日はずっと名前を目で追いかけていた。
それからは街で時々見つける度に胸が踊った。中学校の黒いセーラー服から覗く白い足と、相変わらず憂いを帯びたような雰囲気に、生意気にも薄っすらと口紅を塗った名前は承太郎を惹きつけてやまなかった
。そして今日。名前は承太郎の部屋で徐倫の背中にその白い足を絡みつけていた。







興奮した徐倫は承太郎にひとしきり暴言を吐くと、胸元の肌蹴たままの名前を連れて家を飛び出した。
自分の部屋であるはずなのに、そこには名前の香りなのだろうか、なんだか甘い女の匂いが立ち込めていた。
チェスターフィールドのソファーに手を置くとまだ温かく名前の体温が残っている。
腰掛けて不意にソファーの下に、薄いピンク色の布切れが見えている事に気付いた。手を伸ばして取り出すと、それは女物の下着のようで、頼りない紐のついた薄いレースのそれは、承太郎の手の中で頼りなく丸まっていた。

(………まさか名前がこんな)

あの淑やかそうな彼女と目の前の下着を見比べると、めまいがしてくる。
それほどまでに魅力的だった。シンとした家の中でさっきまでここで乱れていた彼女の息遣いが聞こえるような気がして、承太郎の下半身はゆっくり頭をもたげてくる。
ゆっくりとそれを取り出すと、この頼りない布を自らの亀頭に覆い被せると、そのまま上下に扱き始めた。

(あの子がっ……こんな薄い下着でこんな)

始めてしまった妄想は最早止まらず、ふと今彼女があの短いスカートで下着も履かずに飛び出した事に思いついて尚更止まらなくなる。
ドクドク下着にぶちまけてしまった後。これを彼女に返してやらなければ、と承太郎はぼーっと考えていた。




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