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関係ないだろ


「そういえばサスケ君の両親って……?」

 何度も家に来ているのに一度も顔を見たことがない。両親の部屋はあると聞いたことがあるだけに、それはなんだか変だなと思ったのだ。
 金曜日の課題タイム。帰り道にコンビニで買ってもらったサンドイッチをかじりながらの小休憩中。

「お前に関係ないだろ」
「そう言わずにお願いします」
「……お前、最近調子に乗ってないか?」

 それほどでもあるかな。
 鼻を摘まみに来たサスケ君の手を、後ろに仰け反ってかわす。冗談抜きに、いい加減慣れないと心が持たないので順応しただけの話なんですけどもね。サスケ君に適応してきたのですよ。こう言えば聞こえは良いでしょ。(悲しい)

「……別に、父さんが転勤族で、母さんがそれについて行ってるだけだ」
「えっ? 子どもを置いて?」
「俺たちは自立してるから心配してないとさ。それよりも、家事も自炊もできない父さんのほうが心配だと」
「ふむ……」

 確かに今サスケ君が食べているおにぎりも、サスケ君が自分で握ったものだ。
 お昼は面倒だからほとんど購買で済ませているみたいだけど、朝晩は自分で作っている。お味噌汁を大量に作り置きしておいて、あとは主菜とお米で済むようにしているらしい。偉いなぁ。私は自分のお弁当くらいしか作ってないし、それも前日のおかずの残りを詰めているのが大半だ。

「お兄さんは?」
「にいさ……兄貴も料理はできる。ただ、完璧主義すぎるんだ」

 “兄さん”と言い掛けたのを言い直して、そう言った。そこってそんなにこだわるところなんだ。
 完璧主義というならとても料理上手そうに聞こえるけれど、行き過ぎてしまっているらしい。塩コショウをひと振り多く掛けすぎたらやり直し。野菜を均等に切ろうとしてやり直し。皿に美しく盛れなくてやり直し。などなど……。
 しかも失敗と判断されたものは、「お前にそんなものを食べさせるわけにはいかない」と言って処分させてくれないのだとか。

「俺が料理を禁止させてからは作ってないがな」
「あはは……大変だね」
「兄貴は自分で稼いでる。外食できるから問題ない」
「なるほど……」

 そういえば、ご両親はイタチさんの彼女がこの家に住んでいる(という表現が全く正しくないことは重々承知している)ことは知っているのだろうか。あの部屋の中を見たことはないけれど、近付くこともサスケ君に禁止されている、タブーのような存在。

「もちろん知らせてない」
「ですよね……」

 そりゃそうだ。

「だが、薄々になら想像がついてるかもしれない」
「どうしてそう思うの?」
「……一度母さんに、“避妊だけはきちんとしなさい”と揃って言われたことがあるくらいには、察しがいいからな」
「…………ヒエッ」

 実の親にそんな注意をされたなんて、背筋が凍るほどの恐ろしさだ。サスケ君は色んな子と付き合っていたことを、お兄さんは外で遊び回っていることを、自己責任だぞと忠告されたということだ。怖い。

「俺たちがどういう風にしてるのかも、想像がついてるだろう」
「どういうって……痛めつけるとか、そういう?」
「ああ。兄弟そろってこうなんだ、その親は……ってことだ」
「……ははっ、そんなー、まさかー」

 笑って誤魔化してみる。これが血によるものだとしたら……。いや、まさかねー、あははは。

「……両親の部屋で、手錠と鞭と蝋燭を見たことがある」
「…………」

 ……ホラーだよそれは。親のそういう道具を見つけてしまうことほど、居たたまれないことはないよ。
 ていうか一家揃ってSだなんて、私ヤバいのでは? 今更か。



(170711)
『確かに恋だった』様より
ツンデレな彼のセリフ「関係ないだろ」


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