コンコンコン、お隣さん | ナノ


▼ 19、ただの隣人だから

合コンの話しを萩原くんとして、それからその話しをまた伝える。一応幹事として私たちも参加する事になったけど、萩原くんは大丈夫なのかと思ったら松田くんも来るという。そうだよね、心配だもんね。松田くんは鍋の次の日にお礼とお詫びのお菓子をお届けして、萩原くんにもそのお菓子の追加ぶんをお渡しした。わりと酔わない、酔わないけど酔う時は酔うし、酔いたいときはがぶ飲みだってするわ
そんなわけで酔うのが極まれなはずなのに、萩原くんと松田くんってわりと居合わせる…。合コンの日の当日に、猫くんも加わった。男性陣の一人が仕事だったらしい

ちなみに猫くんはあだ名。名前は雪ってかいてそのままゆきくん。それは置いといて、会社のみんなとロッカールームで着替えをして、一応化粧直しをしてから合コンという名前の飲み会をする居酒屋まで向かった。大きい個室の部屋は上にあるらしく、店内を通ってから靴を脱いで階段をあがっていくと、もうすでに7人の男の人がいた。
合コン、二人ずつくらいでいいと思うのにやっぱり色々な人との出会いがあったほうがいいのだろうか、とりあえずうちの部署からは私のこと嫌いな人も加わってるけど、味方というか遊びに七奈ちゃんも来ているのが安心出来ることろ。

萩原くんと松田くんの友達も結構なイケメン揃いだった。彼らを見ると普通だなって思う人もいるけど、多分彼らを見る前なら絶対イケメンの部類に入るとは思う。とりあえず私は幹事なので、同じく幹事の萩原くんのほうに酔っていった。すぐに席替えだって言って男性陣が散らばる中、自分たちはそこにいたんだけど、萩原くんと話したい女子がいたが故に結局ばらけた

よくある典型的なもの、自分の名前を自己PR、最初から職業は伏せておくように言われているけどここの全員が警察官かどうかもわからない。とりあえずその後は雑談になって、隣の人と話したり前の人と話したり。松田くんと萩原くんを見ると、萩原くんはちゃんと返事をしてあげているみたいで、女の人のほうも楽しそう…女の人のほう、って私のこときらいな人だけどね。嫌いなら近づいて来なければいいのに、わざわざ近くに来るんだから。松田くんのほうは無愛想ながらも話していたみたい。席は好き勝手変わって、気になっている人のほうに行っているみたいだった。

「はい!王様ゲームしよう!」

っていう一言で…喜んだのは本気で彼氏彼女が欲しい人たち。まじか!ってなったのは多分私と萩原くんと松田くん。顔でわかるわ、そして私もわかられたようで松田くんがこっちを見てきた。うん、わかるわ、何よそれって感じよね、うん

最初は3番が尻文字!とか面白い内容だった

「じゃあ次は〜…6番と12番がキス!」

「あ、俺6番だ」

キス、なんてものにはあ?ってならない、まだならない、なるのはきっと今からだ。12番誰、ってなった時に萩原くんが名乗り出ないから違うものにしよう、ってなった。それなのにみんなが周りの人の番号を見て、松田くんだと教えた

「え、じんぺーちゃんなの!?」

「ぜってぇやだ」

「面白くないから違うのにしようかな…」

「どうして?さっきまで王様の命令は絶対って言ってたのに?」

私は見たいという欲求が勝ってしまってバカな事を言ったと思う。私の一言で余計に盛り上がってしまったので引っ込みがつかなくなった。私もかばってあげられればよかったんだけど、ごめんなさい、って思ったときにはもう遅い。お酒も入っているせいでみんな悪酔いでもしているのか、いい事言ったって褒められたくらい

「ちっ…うるせぇ」

松田くんがそのうちこの状況がいやになったのか、萩原くんの顎に手を当てて横を向かせると頬にキスをした

「口に、とは言ってねぇだろ」

っ…。ってなった、なんだろうこれ、すっごいずるい。松田くんってこんなかっこよかったっけ…色々萌えが許容範囲を超えすぎて携帯をぶん投げたくなったけどみんなの盛り上がりように私の中での何かが抜けていってくれた。その後もキスとか恋人繋ぎとかの指示が出て…最終的には番号が男女別になってしまった

「ねぇ、先輩」

「っ…あ、なに?」

「3番、先輩でしょ?猫くんとハグだって」

「あ、そうなの」

私がよいしょ、っと立ち上がると猫くんがじりっと後ろに下がった。

「先輩、ちょっとは恥ずかしがるとかしましょうよ」

「え、なんで?可愛い後輩くんだもの、猫可愛がりするわよ?」

「いや、俺は…俺はいやです!」

「だ〜いじょうぶ、怖くないわよ〜?ほーら」

私も相手が猫くんだったっていう余裕から、彼の前にしゃがんでおいでおいで、としていた。私と猫くんのやり取りを見てみんなが笑っていたのだが、そのうちしらけるだろうというのを猫くんもわかっているらしく、それはもう動物のように飛びついてきたと思ったら数秒で離れていった。可愛いわね、ほんと動物のようだわ

それからぎゅーがたびたびはまったらしく出て、私は男同士というか、松田くんと萩原くんのでいいのにそうはいかないらしい。松田くんと萩原くんと私は悪運はいいのかあんまりあたらないからよかった

「じゃあ、9番が1番の頭を撫でる」

自分の番号を見ると1番、9番は、と思ったら萩原くんが固まっているので多分そうだ。誰かと聞かれて私が手をあげようとしたら、隣の私のこと嫌いな人が手をあげた

「はい!私です!」

番号を確かめられる事は無い、多分みんな知っているから。私もそれでいいか、と思ったのに後輩ちゃんが「あ、見間違いじゃないですか?なまえ先輩が1番ですよ!」なんていうから睨まれたし私になったりで。とりあえずテーブルとは別に空いているほう、みんながそっちでやっていたので呼ばれればそっちにいくんだけど、私もそっちのほうに行って座った。萩原くんはなぜかみんなに背中を向けるところにさりげなく座っていて、私の頭の上に手を乗せる。いやじゃなかったのかと思って萩原くんを見上げると、彼は案外優しい表情で笑って頭を撫でてくれていた。案外頭を撫でるのも優しく、ではなくてわしわしと言うように撫でられて、少しして離れていった。乱れてしまった髪を整えて、それからまた何個か指示があって、そろそろ席の時間が終わりそうになった。好きな人に告白する?みたいな公開処刑になりそうなものが出そうになったけど、それは無理やりではなくて任意になり…
私のことが嫌いなお二方が萩原くんに告白して玉砕、カップル成立したのは二組、松田くんも告白されていたけどお断りしていて、七奈ちゃんは連絡先の交換はしていた。結局はみんな告白か何かにはなっていて、ちゃんといい感じの合コンにはなったかな、なんて。

二次会に行くのはカップル成立した二組くらいか、それぞれ帰っていこうとした時にお会計の時に私のこと嫌いな二人が会計よろしくしてきた。それから耳元でぼそっと「どうせ寝たんでしょ」って言われる典型的な嫌がらせ
で、実際同じ部屋で寝ていたから「寝たわよ」って知らないフリして返してあげたら、ポカンとした後に舌打ちして帰って行った

「呼んでないのにね…」

「うん…そしてお金も払わないのね…」

カップルの二組のうち一組は合コン開いてっていってた一人、一人は松田くんに玉砕してしまったからか、私のところに来てもう一回!ってお願いしに来た。なんだろう、可愛い。金額が出たのでとりあえず私が最初に全額払おうとしたら、男性陣で女性のぶんは出すよ、なんて萩原くんが言って松田くんがみんなからお金をまきあげていた
ここは素直にお礼を言って、それからお店の外に出てそれぞれ離れる。七奈ちゃんも送ってもらうらしく手を振って別れた

「先輩、送ります?」

あ、どうしよう。松田くんがもう帰るなら同じ道に向かって歩くのなんかちょっときまづいだろうし、そう思うと猫くんの手を煩わせないように断ったほうがいいのかな。あ、でも萩原くんと松田くん一緒に帰るのかな?って思ったけど二人が帰らないところを見ると二人とも今日はお開きなのかな

「うーん、っと」

「あ、でも家知られるのとかあれですよね、色々ありますもんね…じゃあ、っと…タクシー代出すので少しだけ付き合ってもらえます?」

「そこは気にしてないけど…うん、いいよ」

「じゃあ公園に」

「みょうじ」

「はい?」

「俺らこの後家で飲むから」

「え、うん」

私が首を傾げて返事をすると萩原くんが苦笑いを浮かべた

「このあたりでじんぺーちゃんとしゃべってるからさ、一緒に帰ろう?方向同じだしね」

「うん、わかった…」

でもそれは話しを長くは聞いてあげられない、と思って猫くんを見ると「すぐです」なんて言うので頷いた。近くに公園は無いから、とりあえず少しだけそこから離れて歩道橋にのぼった。車がたくさん通っているせいで、近くにいないと声が聞こえないから猫くんは私のすぐ隣にいて、私は上から見下ろしていて、猫くんは寄りかかるようにしているから対照的になっている。

「先輩」

「うん」

「単刀直入にいいますけど、好きなんで、付き合ってください」

「なにが好きでどこに付き合ってって?」

「……先輩が好きなので付き合ってください」

あきれたように言われた。断る理由は無い…ないし、今までの私なら告白されたらとりあえず付き合ってたと思う。猫くんを一度見てから、また道路のほうを見た。いいよって言ったら松田くんたちとの楽しい関係も終わりかもしれない?でもあの二人にとって恋愛対象じゃない…って言っても他はどう思うかわからない
猫くんは、可愛いって思うし全然嫌いじゃない。好きか嫌いかって言われたら好きの部類に入ると思う
それに、そうね…歴代の彼氏のことを言うと申し訳ないとは思うんだけど、多分まとも。そして多分大事にしてくれそう…一緒にいるのも楽しい、と思う

「…で、別れた時に気まずいとは思うので、もし付き合って、もし別れたとしても、大丈夫です、上手に過去にしていくの気まずい雰囲気は醸し出しませんし。」

それでも私が考えていると、猫くんがこっちに体ごとむいたので私も下を見るのをやめて猫くんのほうを見た

「お試しでどうでしょう!」

「…漫画か何かなのかしら…」

「そういう漫画見ました」

「正直者か…」

笑って、差し出された手をとった。軽く握手して、よろしくお願いしますをして、それから屈託の無い笑みを浮かべる彼を見てなんとなく心が痛んだ。お試しって言われたんだけど、そんな嬉しそうに笑われると申し訳なくなってくるじゃない…と。それから松田くんと萩原くんが待っているだろうから、ってその近くまで送ってくれてばいばいした
待っているから、って…いいの?とりあえず萩原くんと松田くんのところまで行ったら、二人がお酒を掲げて手を振ってくれたので二人のところに歩み寄る。今日の話しと次の合コンもお願いされたことを伝えながら家に帰って、松田くんの家に招かれたので着替えてから飲み会の続きに加わった

「にしても強烈な子が会社にいるね…俺ちょっとびっくりした」

「あー、あの子達…ごめんなさい。多分私が萩原くんと歩いていたの見てたって噂聞いて…かもしれない」

「あはは、そうなんだ?でも気にしなくていいよ。むしろ風当たり強くならない?」

「大丈夫よ」

そんな話しをしながらとりあえずコンビニのお酒代を払った。ここは譲れないので二人とも受け取ってくれる。

「そういえばさっきの子は話し大丈夫だったの?」

「野暮な事聞くなよ萩原…告られたんだろ」

「あー、やっぱり?」

「うん…そうだった」

「そっか…。気まずくなるな?」

「どうして?」

「え、だって、ことわ、った…んだよ、ね?」

萩原くんの言葉に聞き返すと、萩原くんと目を丸くさせつつなぜか途切れ途切れで問いかけてきたので、私はさっきの話しをそのまま伝えた。すると松田くんは変なところにビールが入ったのかすっごい咽ていて萩原くんが眉間に皺を寄せた

「あ、あの…元カレのこととか、夏の事もあるから心配かもしれないけど、でも平気よ!?猫くんってずっと知ってる子だし、間違えてもお金でどうとか、浮気がどうとかって無いはずだから!」

「いや、まあ…そんな感じの子では確かに無かったけど」

「お前ここにいてもいいの?」

「うん、さっき二人が待ってるだろうからーって…」

「…一緒に飲んでるとは思ってねぇんじゃねぇ?」

「………そ、かな」

「多分」

落ち着いた松田くんに言われて、やっぱりだめか、そうだよね。なんて思ってお酒はしっかり飲み干してから立ち上がった

「よし、じゃあ帰るわね!」

二人といるのは楽しいけど、猫くんは知らない事とは言えお試し期間でも彼氏は彼氏!自分のされていやなことはしないわ!
二人にお礼を言ってから帰宅した。じゃあもうわりと満足いくくらいお酒も飲んだし、寝ようかな


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