コンコンコン、お隣さん | ナノ


▼ 11、隣人さんたち…フルサービス

予想通りに私が一番最初に起きたので一度家に帰って着替えとか一応身なりを整えてから二人がいる所へ戻った。ジッと見るのは失礼かと思ったんだけど布団にうつぶせで寝転がったまま、うつぶせに寝ている萩原くんの背中の上に腕を乗せている松田くんとかが素敵すぎてそのまま凝視していたらそのうち萩原くんが「重い」と言ってその手を避けてそのままの体勢でこっちを見てきた

「おはようなまえちゃん」

「おはよう」

「早いね…準備し終わったんだ?」

「うん、あ、でもゴロゴロするから気にしなくていいからね」

「ううん、もう起きるよ」

萩原くんが隣の松田くんを叩いた後に二人とも起きて、二人が顔を洗ったりしている間朝ごはん〜なんて事は人ん家だからする気も無く、そのまま私が転がっていたほうが二人としては気を遣わなくて済むかななんて思って寝転がって枕に顎を乗せながら携帯を弄っていたら二人が外に出ようとした。タバコを手に持ってるからタバコかな?

「あ、大丈夫よ…あ、でももしかしていつも外なの?」

「…いや、朝はいつも部屋」

「じゃあどうぞ」

もう着替えは済んでいて、細身のパンツに半そでシャツを着ているからいいだろうと思って布団を畳んでから正座をした。まず最初に松田くんが火をつけたので、ふっとよく上司にやるようなタバコの火をつける行為を思い浮かべたので萩原くんが火をつけようとしたのを手で制した

「ん?」

「火をつけてあげるやつ…?みたいなのやって!見たい!」

腰をあげて手を出していたのでそっと腰を下ろしてから自分が見たいものが上手く説明できなかったけどちゃんとこれで伝わるだろうと思いつけてあげるやつ、という言い方をしたのに萩原くんと松田くんが「あぁ」なんて二人で言った後に煙草をくわえた萩原くんが松田くんに顔を寄せて松田くんの咥えているタバコにタバコでまるでキスをするようにくっつけた

「これ?」

萩原くんに問いかけられる前に私は布団に倒れました。萌えがすぎる
布団に顔面を埋めたまま萩原くんが「おーい」と話しかけて来るので親指をグッと立てたら可笑しそうに笑う声が聞こえた。そのまま畳んだ布団を枕にして横をゴロッと向けば二人ともこっちを見ていたので交互に見た後に瞬きをして笑ったら松田くんが視線を逸らした

「見ないふりしたほうがいいのかもしれないんだけど、ね」

「うん?」

「放っておけよ萩原」

「じんぺーちゃんのムッツリー!」

「違ぇ」

「え。何?」

私が問いかけた後に萩原くんが自分の胸元に手を当てたので私も同じように自分の胸に手をあてたら何かわかった。私が横を向いてて下にしている腕のせいで胸がむにっとなってシャツからその胸が出ていたらしい。慌てて起き上がってちょっとずれた下着を二人に背中を向けて直した

「お金払わないと…」

「お金?」

「失礼なものを見せましたーって」

「あはは、俺らがもらうんだ」

「うん」

直し終わってから二人のほうを見る前にお布団を片付けようかと思ったら松田くんがこっちを見たのが視界の端に見えたので松田くんのほうへと視線を向けた。しっかりと綺麗な瞳と目が合うと、何も言ってこないので小首を傾げる

「業者来るまでいろよ」

「あ、うん…いいんですかね」

「あぁ。萩原がパン屋でパン買ってくるから」

「俺!?」

「早く行け」

あはは、と笑い声をあげてから布団を全部持ってみたら案外いけたのでそのまま持ち上げて自分の部屋に持っていこうとしたらこれじゃあ扉が開かない。助けてもらおうと口を開きかけたところで先に萩原くんが来て開けてくれて、私の部屋の鍵も開けてくれて押さえててくれたからそのまま中に入り、整えるのは後だと思って置いて、色々してくれる度にお礼を言っていたけど改めて言おうと急いで戻ったらそこで萩原くんが待っていてくれたので改めて頭を下げてありがとうを伝えた。じろじろと私の部屋の中を見ない気遣いの出来る萩原くんは正直男性としてとってもパーフェクトだと思う、だからこそ松田くんはこんな萩原くんが好きなのかな…いや、でも扱い的にこういう優しさじゃなくて、もしかして夜は野生的な…えす?似合う…

「どうしたの?すっごい見るね…」

「あ、ごめんなさい、なんでもないのよ…」

確かに傍らに立って見上げたまま動きを止めていたら気になるか、苦笑いを浮かべて視線を逸らしてから外へ出て施錠し、松田くんの部屋に再びお邪魔をした

「お帰りー」

「ただいまー!」

萩原くんが元気に挨拶をした。私はそれにふふ、っと笑っただけだったんだけど松田くんに「お前だよ」って言われたので「た、だいま」と返しておいた。なにこれ、私の家じゃないのに、なんでそんな事言ってくれるのか…くすぐったくてどうしようも無い

「あ、ねぇ、そういえばこの部屋って幽霊出る?」

「幽霊?出たことないけど…ねぇ?」

「…ねぇな」

「そっか」

「どうした?」

「ううん」

松田くんに聞いた意味を問いかけられたけど首を振った。じゃあもしかして幽霊が男性だったから私のことに興味を持ったのかな、だとしても凄くやめて欲しい、でも、あれ、幽霊にしては温かかった、ような…
なんて考えていたら松田くんに萩原くんが追い出されたので私と松田くん二人きりになり、一瞬の沈黙が二人の間に流れたけど、特にきまずいというわけでも無くただ自分の部屋じゃないから何をしたらいいのかなってだけで

「なんかあったのか?」

「え?」

「幽霊がどうとかって」

「あのねっ」

昨日眠っている間なんだけど、なんて言葉を続けようとしてすぐになんでもないとこの話しを終わらせようとした。だって幽霊とキスってどういうことなのってなりそうだし、もしも松田くんが怖いの苦手だったらって思ったら言うのは躊躇った。そのまま私のことを見てから松田くんが話しを始めた、萩原くんとの昔話…

「お前なんでそんな満面の笑みなの」

「え?」

「笑いすぎ」

テーブルを挟んで目の前にいた松田くんが手を伸ばして私の額を小突いてきた。だって萩原くんと松田くんの昔話って…萌えしかない…!やんちゃな松田くんとそれを煽るような萩原くん…!どうしたらいいの私!
もう埋まれる布団も無いので机に突っ伏していたら松田くんが頭を突いてきたのだがそのままでいたら萩原くんが帰ってきた

「…セクハラ?」

「違う。みょうじはコーヒーでいいか?」

「あ、手伝う」

萩原くんがパンをテーブルの上に置いて、私と松田くんが立ち上がった。パンのとりわけのお皿など、渡されたものを用意していけばあらかた準備が終わったのでテーブルの前に座った。ちなみにお皿の上には萩原くんがパンを出してくれていた。パンって簡単にパンって片付けられるものでは無いのよ!このあたりでは美味しいと有名なお店で、朝の丁度忙しくない時間に行くとそこの焼きたて食パンに好きなものを乗せてくれるという!
そこに使っているパンの材料のうちだからチョコレートもピーナッツも色々。萩原くんはどうやらキャベツとソーセージと半熟目玉焼き、ベーコンと目玉焼き、チーズと目玉焼きを選んでくれたらしい。私が選んでいいというのでキャベツのやつを貰っていただきますをした

「んーっ…美味しい、目玉焼きって美味い…」

「これにしてよかったー。甘いもののほうがいいのかなって思ったんだけどね」

「甘いものも好きよ」

松田くんと萩原くんはどちらかといえば萩原くんのほうが話すけど松田くんもずっと話さないって言われればそうじゃなくて、話せばちゃんと話しかけてくれるしそれも相槌だけなんて事は無いから嬉しく思うし、二人ともわりと気さくっていう感じだから話やすかったりもする。一応お世話になったのでお掃除を少しさせてもらった、私の髪の毛とか落ちてるだろうし、二人並べてベッドに乗せていたら写真が撮りたくて仕方なくなった

「狭い」

「いつも一緒に寝てるじゃん!」

「お前が勝手に潜り込んできてるだけだろ!」

っていう感じにわりと絡んでくれるから掃除しつつもちらちらそっちを確認してしまった。掃除の片付けをしていたら業者さんから電話が来たので二人にばいばいをしてから部屋に戻った、その日はとくに二人とはそれ以上会う事もなく、ただ二人のやりとりを見ていてとってもいい気分だったのにお母さんから同級生の子が結婚しただのなんだの、って連絡を寄越されて、あんた彼氏いないの?っていう言葉には無視。その後も同じような言葉をいーっぱい言われてちょうど来た合コンのお誘いにはやけくそで行くって告げた



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