10/14 Mon 22:46:15
(恋柱の継子が欲しい@)※覚醒後
師匠のパンケーキ作りの手伝いをしていると玄関の戸を叩く音がした。お昼時の来客は決まって蛇柱様。私が出るよりも師匠が出迎えたほうが喜ぶだろうと、フライパンを握る師匠に自分が代わると声をかけた。ぽつぽつと表面に泡が立って来たらひっくり返す合図。薄く切った木べらを差し込んでひっくり返すと、茶色い焼き目が綺麗な丸を描いていた。二枚、三枚と同じ調子で焼いていくが、師匠はなかなか戻ってこない。蛇柱様であれば召し上がっていくため家に上がるはずだが。今日は違う方がお見えなのだと解釈し皿にパンケーキを積み上げていった。
「あら、たくさん焼けたわね!」 「師匠お戻りになられたんですね。…あ。」 「今日は時透くんが来てくれたの。三人で食べましょ。」
戻ってきた師匠の傍らにいたのは霞柱様であった。霞柱様は挨拶もそこそこにじっと私と、私の手元を見ている。何か変なところがあっただろうか。やがてゆっくり近づいてくると私の隣に並んだ。
「それ、いつも着てるの?」
霞柱様が指さしたのは、師匠の趣味で作られた西洋の割烹着。ひらひらと装飾が付いたものであった。
「いいえ、調理の時のみです。」 「ふーん。…いいなぁ。」
霞柱様は男性だというのに明らかに女性向けであるこの割烹着が着たいのだろうか。でも、彼は一見女性に見えるぐらい童顔であるし。私はまだこの時、「いいな」が何を指して言ったのか気づいていなかった。 Muichiro Tokitou
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