武田主従共


「毎日精が出るねぇ、旦那」

広い庭で一人、槍を振り回す幸村に佐助が歩み寄って声を掛けた。

「どうした佐助?何か用か?」
「いーや。旦那も一つどうだい?」

手に団子の串を持って佐助が言うと、幸村は槍を地に刺して手を伸ばした。

「む、これは…」

美味そうな、と続く言葉を飲み込んで、幸村は緩んだ頬を引き締めて佐助を見遣る。

「…お前がここに居るということは、お館様には誰がついておるのだ?」
「誰も?」
「なっ…何を呑気に団子など食っておるのだっ」
「旦那に言われちゃった」

真っ当な言葉に佐助は思わず顔を崩して笑った。

「何を笑うか佐助!お館様をひとりにするなど…っ」
「そのお館様がいいって言ったからねぇ…」
「だからと言って本当にお一人にする奴があるか!」
「…旦那がまともな事言ってる…!」

幸村が言えば言う程佐助は笑い、一頻り笑った後、団子の一つを幸村に差し出した。

「この屋敷の中でどんな危険があるって言うんだい?」

佐助の言葉と目の前の団子に、幸村は思わず言葉に詰まる。

「お館様にも一人で休みたい日だってあるでしょ。旦那も休憩ぐらいしなよ」
「む…そうか?」

言って、幸村はゆっくりと息を吸ってから、続けた。


「…なれど!お館様ぁああ!」 →

「食わねば団子に失礼だな」 →

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2014/10/11 comment ( 0 )







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