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オートポイント ツインポイント No.2007
2008/06/10 06:00


 前後で対称形を成すこの製品は、黒と赤の二色を使い分けられる双頭シャープペンシルです。
芯径0.9mm及び1.1mm(1.18mm)の二種で、ここに紹介するのは0.9mmです。

全長150.8mm, 軸径8.6mm, 10g, 機構は回転繰出式。
ノック式は芯の側面を挟んで送り出しますが、回転繰出式は口紅に似た方式で全く違うものです。
 19世紀に英米で発明されたシャーペンや日本の早川徳次が改良したシャーペンも回転繰出式でした。
本品はそのなかでも、芯をところてんのように押し出す単動式という単純な方式で、それを軸の前後に装備しています。

 軸を回すと内部の針金が前進、芯を押し出し、逆回転させると針金が後退、それから芯を押し込み収納します。芯補充は、
1.機構部を引き抜いて外し、
2.針金を回して抜き取り
3.機構部後方から芯を入れたら、
4.針金を同じように軽く回して入れ、
5.機構部を軸に戻します。
黒と赤の機構部を入れ替えることも可能で、また青と緑も存在します。赤の色合いは暗め。
 替芯は紙筒入り12本、35mm長。装填できる芯の長さも35mmまで、予備芯は収納できず消しゴムもありません。
 Grip-Tite-Tipと命名された二叉口金が芯を挟みます。これと単動式のおかげで残芯は1mm以下と言っていいほどです。
 先端円錐部は29mm、軸を短く握る者には使いづらいでしょう。
 他の回転繰出式は軸を一回転させると5mmから8mm繰り出すのに対しこれは2mm、回転式としては少ない繰出量で作動も重いものです。
また、販促用ノベルティ品として配られることも多いらしく、ありていな表現をすると安物なんですね。
くわえて現代では過去の遺物なのですが、ノック式では実現しがたい双頭式や二叉口金など愉快で魅力ある製品です。

 1918年に創業したオートポイント社は1930年代には既に同型を製造しており、現行品とほぼ同じ機構だったようです。
戦後は他社の一部になり1970年代には消滅するなど紆余曲折を経て1980年ころに再興、Buy American運動の影響かアメリカ製を強調した経営をしています。
 日本ではとてもマイナーな会社ですが、アメリカではエヴァーシャープ(アメリカで初めてシャーペンを製造した企業)についで有名なシャーペン会社だったようです。
 そういえばドイツの鉛筆会社は日本でも有名なのに比しアメリカの鉛筆会社といったら、イギリスにも工場を持つベロール以外は聞きません。現在サンフォードに買収されたそのベロールも色鉛筆を除けば日本ではこれまたマイナーです。
ベロールのミラード(ミラド)鉛筆(当初はミカド即ち"帝"で、太平洋戦争に際し改名された。品名が日本的なのは当時日本領であった北朝鮮産の黒鉛を原料にしていたため)はその名からマニアのあいだで知られていますけれど、国内での販売となると画像のイギリス製ミラードしか見たことがありません。
 1970年代の統計ではアメリカは最大の鉛筆生産国であり、政治経済的に強く結びついている日米間に流通していてもおかしくはありませんが、日本の鉛筆市場は手強かったのか、それとも鉛筆貿易が自由化されていなかったのか、アメリカ製の鉛筆は見かけず、そして私はオートポイントの存在も知らなかったのでした。



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