被害者系女子の独白




ヤバイ事に巻き込まれたかもしれない。


そんな事を考えながら私は重たい頭を抱えていた。
今朝下駄箱に入っていたストーカーからの気持ち悪い手紙は結局捨てる事が出来ず、鞄の中に突っ込んである。
だっていつも見守ってるんだよ?
もし捨てる所を目撃されてしまったら堪ったものじゃない。報復されたらどうしよう。
めっちゃ怖い。

行動を監視されているのだろうか、と考えたら胃の辺りがキリキリと痛んで仕様がない。今なら中等部の時にお世話になった土井先生の気持ちが痛いほど分かる気がする。
あの時は彼女が居ない事を散々ネタにしてからかったり、練り物嫌いを馬鹿にしてごめんなさい…。
次に土井先生に会った時はちゃんと謝ろう…。


こんな状態なので勿論私は授業どころじゃない。
ノートを取るのもそっちのけでひたすらため息ばかりを連発している。
この時ほど窓際の一番後ろというアニメのような特等席に感謝した日はない。

ああ、これは警察とやらに相談した方が良いのだろうか?
いやしかし、実害がなければ動いてくれないと聞いた事があるし、むしろ「お前ごときにストーカーかよ(笑)」と鼻で笑われそうな気がする。

いや、流石にそれはないか。

(でも、あまり、大事にはしたくない)

それにほら、もしかしたら質の悪い悪戯かもしれない!

友人が私の事を驚かせようと仕掛けたとか、罰ゲームで何処かの誰かさんが私に手紙を送らなきゃいけなかったとかさ!

…いや、それはそれで私が虐められてるみたいで嫌だなぁ。

今まで平穏無事な学校生活を謳歌してきたというのに、何故こうなってしまったのというのだ?!そもそも私は誰かにストーカーされるような覚えなんて全く無いぞ?!

勉強はそこそこ、運動もまあまあ。
顔立ちもクラスの可愛い子達に比べたら可もなく不可もなくといった素晴らしいくらいの平均具合なのに…!!!
ただ一つだけ人と違う点をあげるとすれば、少しだけ不運体質という所ぐらいだ。

因みに所属している保健委員会委員長の善法寺伊作先輩の不運と比べたら私の不運なんて可愛いものである。

(はっ…まさか、これも不運のせい?)

普段ならそんな馬鹿なと笑い飛ばせるような答えも今の状況だと全然笑えなかった。背筋に冷たい汗が一筋。

いっそ、善法寺先輩に相談してみようか。いつも優しい善法寺先輩ならきっと話くらいは聞いてくれる筈だ。

この授業が終わったら速攻で保健室に向かおう。確か今日の当番は善法寺先輩だった気がする。


心の中でそう決意して私は何度目か分からない深いため息をついた。


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海苔千代


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