[優]





『優ってさよく片想いの曲聴いてるよね』



「え?そうかな?」



『うん、これも。片想いしてんの?』



「え?してんの?」



『いや、こっちが聞いてるんだけど。』




まさか飛鳥からそんな事聞かれるとは思わなくて謎の質問返しをしてしまい、笑っている飛鳥をチラッと横目で見ながら"してるよ"と心の中で呟く。

でもそんな声聞こえるわけもなくもう一度質問される。




『してるの?』



「どうだろ。」



『優最近よくそうやってはぐらかすよね。』



「そうかな。」



『そうだよ。なんか本当の気持ちをぶつけてくれないっていうか。まだ嘘ついてくれた方がましなんだけど。』



「飛鳥に嘘をついたことはないよ。」



『嘘だ。』



「本当だよ。」



『気づいてないかもしれないけど、嘘つく時の癖あるからね。』





まじかよ。

嘘ついてるのバレてるってめちゃめちゃ恥ずかしいじゃん。

結構嘘ついてきたからなぁ…




「癖教えてよ。」



『やだよ。嘘ついてる時わかんなくなる。』



「確かに。」



『バカだね〜』



「うるさいなぁ。」





こんなやりとりをしてる間に海に着き、砂浜へ向かうと丁度気持ちいい秋風が吹く。

サンダルを脱ぎスカートを持ちながら海に近寄る飛鳥。

夕陽を背に濡れるか濡れないかの瀬戸際を笑って楽しんでいる。

その姿を写真に収める。

うん、可愛い。

飛鳥は自分の想いを伝えるのは下手くそで不器用。

でも人の事をすごい考えてるし、自分より相手を大事にする子。

可愛いしスタイルいいしモテないわけがないのになんで彼氏作らないんだろ。

あーでも、人とずっと一緒にいるの無理とか言ってたけ…

結婚も利益がないとしたくないって言ってたし。

利益って何?一生結婚できなくていいの?

確かに結婚がゴールで幸せの全ててではない。

このまま誰のものにもなって欲しくないと願う自分もいる。

飛鳥の幸せを願いたいけど、それはきっと私の元から飛鳥が離れていく事。

嫌なんだ。それだけは…




『ねぇ優みて!』



「うわ、ナマコ?無理無理!」



『あっははは!』



「笑いすぎだから。あ、みて!夕陽が沈む!」



『あー ほんとだー!』



「ねぇ、飛鳥は今幸せ?」



『何突然。』



「幸せって何なんだろって。」




珍しく何やら考えこむ飛鳥。

そんなに難しい質問だったかな。

口を開いたと思ったら質問の答えではなく、返ってきたのは全然違う質問だった。


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