[麻衣]


この前もらった合鍵で家に入ると、部屋の明かりがついていた。
名前を呼びながらリビングに進んでも返事はない。
脱ぎ捨てられた靴下。
付けっ放しのテレビ。
テーブルの上には私が表紙の雑誌が置いてある。
買ってくれたんだ。
ソファに寝転び綺麗な寝顔を浮かべている愛しい人。
どんな夢見てるのかなーなんて思いながら、靴下を拾う。



「優!靴下は洗濯機に入れなさいって何回言ったらわかるの!」

『びっくりしたあ… 来てたなら起こしてよ。』

「はあ…」

『いつきたの?』

「今。ご飯は… またカップ麺?野菜食べなきゃダメって言ってるでしょ?」

『嫌いなんだもーん。』

「しかもこれいつ食べたやつ?」

『んー、昨日?いや、一昨日かな?」


優はかなりの偏食。
野菜は基本的に食べない。
ていうか、ご飯を食べない。
主食はお菓子。
スッと立ち上がり冷蔵庫へ向かい水を飲んでいる姿に思わず見惚れる。
ふと目があった瞬間、水をこぼす優。


「何してんの。」

『見られてるなーって思ってたら溢れてた。』

「見てたもん。ねえ、痩せたよね?」

『あー、最近体重計乗ってないから…』

「お願いだからちゃんとご飯食べて?」


食べてるってばと言いながら私の横に座りなおす優はどこか不機嫌。


「明日朝ごはん何がいい?」

『冷蔵庫何にも入ってない。』

「そんな事だろうと思って買ってきた。」


じゃあサンドイッチがいいなって可愛い笑顔を見せてくれる優。
そう言うと思ってサンドイッチの食材も買ってきたんだ。


「何時に起きるー?」

『サンドイッチも食べたいけどー』

「けど?」

『麻衣ちゃんも食べたいなー?』

「バカ。疲れて…」

『お風呂入る?』


もうすでに立ち上がりこっちに手を伸ばして私の事を立ち上がらせようとしている。
こういう時だけの行動は早いんだよなあ…
でもそんな優を拒めないのが私の欠点。


『疲れてるならゆっくり入ろ。』

「お風呂で襲ってきたらぶっ飛ばすよ?」

『笑顔でそういう事言わないでくれる?怖い。』

「別に2人で入らなくていいんだけどね。」



お風呂の扉を開けると、先に入ってた優が丁度湯船につかろうとしていた。
優の体。
相変わらず羨ましいボディだ。
無駄な脂肪がなく程よいついた筋肉。
胸の方は…うん。言わないでおこう。



『あんまりジロジロみないでくれる?』

「羨ましいなあって。」

『麻衣ちゃんの体は今日もエロいね。』

「やらしい目で見ないでください。」


そう言って頭を流し始め全て終えて湯船に浸かろうとすると、お風呂に浮かべたアヒルのおもちゃをジーっと見つめている優が小学生みたいで可愛い。


『もう暑い。』

「出ればいいじゃん。」

『やだ。』


強がってるけど、長湯が嫌いな優はそろそろ限界だろう。
そんな事を思ってると顔を真っ赤にしてザバァッと立ち上がる。


『限界!先出る!ゆっくり入っていいよ!』

「ふふっ。」


優がいなくなった浴槽を広々使うけど、なんだか寂しくて。
そんな事を思いつつ疲れている体をマッサージする。
お風呂から上がり、もう寝てるんだろうなあと思いながら寝室に向かうとやっぱり寝てた。
誘っといてなんだよとちょっとガッカリしている自分がいる。
まあ今日に限った事じゃないんだけどね。
でも久しぶりに会えたし、少しくらいイチャイチャしたいじゃん。
ベッドに入るっとクルッとこっちを向く優。


「ごめん、起こした?」

『遅い…』

「ゆっくり入っていいって言ったじゃん。」

『もう少しで寝るとこだった。』


そう言いながらスッと私に跨る。
私も徐々に近づいてきた優の首に手を回して離れないようにする。


『じゃあ…いただきます。』


優がそう言った瞬間唇が塞がれる。
何度も角度を変えてお互いの舌をこれでもかというほど絡ませる。
さっきまで私の顔の横にあった両手は、気づけば服の中。
そして異変に気付いた優の手が止まる。


『ブラ着けてないじゃん。』

「どうせ外されるからね。」

『めっちゃやる気じゃん。じゃあ服着てこないでよ。』

「それはいかにもって感じで冷めちゃうかなって。」

『どんな麻衣ちゃんも好きだよ。』


結局すぐに数十分前の何も身に纏っていない姿にさせられる。
今度はお腹にキスが落とされ、優がニヤッと笑うのがわかった。
その後は言うまでもなく、優しく優しく何度も愛された。
ふーっと息を吐きながら私の横にゴロンと横になる優は、満足そうにこっちを見ている。
少し話した後すぐ寝てしまった優の横顔を見つめる。
私はこの時間が好き。
幼い寝顔が可愛いんだよなあ。
私もいつも抱きしめながら寝てくれる優の首に顔を埋めながら目を閉じた。



Continu...

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