[麻衣]



朝起きるとまだ隣ではぐっすりの優を置いてキッチンへ。
丁度ごはんができそうな頃に優が起きてきて、料理中の私に後ろから抱きついてきた。


『おはよ。』

「おはよ。ねえ、昨日跡つけたでしょ。」

『そこなら見えないかなって。』

「確かにそうだけど…」


手を洗いヘラヘラしてる優の方を向いて無防備な鎖骨に顔埋める。
すぐに何をしているのか気づいた優はふふっと笑っている。


『そこは見えちゃうでしょー。』

「服で隠せるでしょ?」

『絶対理佐達になんか言われる。』

「でた理佐ちゃん。」

『まだ理佐の事よく思ってないの?』

「よく思ってないっていうか、よく一緒にいてずるいなーって。」

『あー、嫉妬だ?』


そうですよ。
いつも嫉妬するのは私。
いや、させるような事をする優も優だけど。
友達に嫉妬なんて私は重い恋人なんだろうなあ。
ご飯を食べてる最中に何かを思い出したかのように話し始める優。


『あ!でもね、嫉妬してる回数なら絶対私の方が多いし、嫉妬する相手が多いよ?』

「え?」

『とりあえず松村さんでしょ?飛鳥さんとも最近ベタベタしてるよね。桃子ちゃんもくっつきすぎね?真夏さんも何だかんだ仲良いし、生田さんも…』

「そんな事1回も言った事なかったじゃん。」

『言い出したらきりないからね。なんならメンバー全員に嫉妬してる。だって一緒にいる時間たくさんあるんだもん。いいよなあ…』


知らなかった。
こんな事考えてたなんて。
私が一方的に好きだと思ってたけど、きっと私の想像以上に優も意外と私の事好きなのかもしれない。
最後の一口を食べ終えた優はごちそうさまでしたと一言呟き、食器を片付け始める。


「優、あのねずっと考えてたんだけど…」

『んー?』

「一緒に住まない?」

『住まない。』


絶対いいよって言うと思ってた。
思っていたのと違う答えに反応できず、固まってしまう。
そんな私をみて笑う優。


『嘘。住むー!』

「ちょっとー!びっくりするじゃん!」

『毎日まいちゃん食べれるのかー。悪くないね。』

「ねえ!バカ!」

『さっきも言ったけどあんまり妬かせるとほんとに毎日食べちゃうかも。』


いたずらっ子みたいに笑う優に腕を引かれてあっという間にベッドの上。
拒む事だってできるのにそうしないのは、私も優に惚れてしまっているから。


『これからもよろしくね。』


この一言をキッカケに降り注ぐキス。
でも途中で優が止まる。


「どうした?」

『明日から忙しくなるんだっけ。』

「うん。」

『やっぱり今日はゆっくりしよう。』

「誘っといてそれはないでしょ?」


押し返して跨っていた優に今度は私が跨ると、ニコニコと笑ってる優と目が合う。
すると優の手と足が私の体に絡んできたかと思ったらグッと引き寄せられる。
力では優に敵わない。


『しないよ。』

「大丈夫なのにー。」

『麻衣ちゃんが大切だから。』

「ふふっ ありがと。」


諦めて力を抜くと横に転がされて向かい合うと、頭を撫でられる。


『またしばらくお休みないのかー。』

「たぶん。部屋探さなきゃね。」

『1人でできるよ?』

「え?うちに来るの?空き部屋狭いじゃん。」

『麻衣ちゃんと居る時はリビングだし、一緒に寝るから別に狭くていい。』


いい匂いーって言いながら首元に顔を埋めてくる優をぎゅっと抱きしめる。
苦しいよと言いながら離れようとする優を逃すまいと、さらに腕に力を込める。
優の力なら絶対押し返せるはずだけど、押し返してこないのはそういう事だろう。


『…よ。』

「ん?」

『大好きだよ。』

「んーー!!」

『ちょ、苦しいって…』

「優充電してるの。フル充電にしてもすぐ切れちゃうから。」



しょうがないなあと笑いながら背中をポンポンと軽く叩いてくれる。
あー、安心するなあ。
明日からも頑張ろう。


end...




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