『ねえ。』

「なに!?」

『なんでそんな怒ってんの?』

「べつに怒ってない。」

『もしかしてやけ酒してたの?』

「だったら?なんか文句ある?てかあなたに関係なくない?じゃあね。」



そう言ってその場を早足で後にし公園のベンチに座り空を見上げる。
私のモヤモヤした心の中とは正反対で綺麗に見える星空に少し癒される。
そして思い出す彼の事。
自然と溢れる涙。
すると後ろから声が。


『風邪ひいちゃうよ。』

「…まだいたの。」

『さすがに泣いてる女の子1人で置いていけないっしょ。』

「昨日彼氏に振られたんだ… なんとなく浮気されてるの気づいてた…」

『うん』

「でも好きだから気づかないフリしてた…」

『うん』

「ほんとはっ…別れっ…たくなかった… まだいっぱいっ…いろんな思い出つくりっ…たかった…」



隣で背中を撫でながらうんうんと私の話を聞いてくれるその子は、よしよしと頭を撫でてくれてたくさん泣きなって呟いた。
その一言に余計に涙が止まらなくなった私の横にずっといてくれてどれくらい経ったのかな?
少し落ち着いて来た時に私の携帯が鳴って我に帰る。


美彩『あ、もしもしまいやん?大丈夫だった?』

「うん…」

美彩『今から行こうか?』

「ううん、大丈夫。今、お店で一緒だった子と一緒にいる。」

美彩『え!?大丈夫?何もされてない?やっぱ行こうか?』

「タクシー呼んでくれた子。なにもされてないよ。むしろ私が迷惑かけてる。」



慌てた美彩を落ち着かせて電話を切ると隣で可愛い笑顔で笑ってる女の子。
お店では酔ってたし、さっきまで泣いてたから全然顔見てなかったけどよく見たら、すごい顔は整ってていかにもモテそう。


『友達、優しいね。』

「聞こえてた?」

『うん。聞くつもりなかったんだけど、こんだけ静かだと…』

「全然いいよ。たいした会話してないし。今何時?」

『えっと、12時回ったとこかな。』

「うっそ!?そんな経った?こんな時間まで付き合わせてごめん!電車ある?」

『全然いいよ。少し元気になったみたいでよかった。今にも死にそうな顔してたから。ここから家は近い?』



目の前の建物を指差すとじゃあ帰るねと何やら携帯をいじり始め、どこかに電話をかけはじめた。



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