[七瀬]
あ、もうすぐ12時…
日付が変わったのに気づいていないのか、それとも誕生日を覚えていないのか。
寝っ転がってる優の横に同じように寝転ぶ。
「もう寝る?」
『まだ眠くない。七瀬は?眠い?ベッド行く?』
「ううん、まだ寝えへん。なあ今日何曜日やっけ?」
『えっとー、火曜日。あー今は水曜日。』
「何日やっけ。」
『24。あ、25になった。』
「さて問題です。今日は何の日でしょう?」
『えー、何の日?今日なんかあった?』
「ヒントは大事な日です。」
『え、まじで何?全然わかんない。もっと具体的なヒント。』
「ほんまにわからへんの?」
『ほんとにわかんない。5月25日でしょ?誕生日?』
うんとは言わず、ニコッと笑うとやってしまったという優の顔。
やっぱり覚えてなかったんや。
『ごめん… 何にも用意してないや…』
「一緒にいてくれるだけでええねん。だから今日誘ってん。」
『そんなんでいいの?可愛いねえ。こっちおいでー!』
そう言って起き上がりこっちを向き腕を広げてるニコニコの優。
遠慮なく優の上に向かい合って座り、ギューと抱きつく。
『お誕生日おめでとう。』
「ありがとう。」
『誕生日プレゼント明日一緒に買いに行こ?』
「ほんまに何もいらんねん。」
『欲しいものないの?』
「じゃあななのお願い聞いてや。」
今日はなんでも聞くよって耳元で笑ってる声。
優と少し距離を開け顔を見つめる。
ずっと言いたかった事。
「ずっと隣にいて?」
『うん。』
「離れていかんでや?」
『うん。』
「大好きやで。」
改まって言われると恥ずかしいってまたギューっと抱きしめられた。
告白って気づいてるんかな。
優鈍感だからなあ。
次の日から少し距離感が変わった気もしなくないけど、一緒な気がする。
まだアピール足りへんかったか…
優の恋人になるの大変だ。
end.
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