[優]
仕事で失敗して落ち込んでいたねるを元気づける為に、みんなで私の家で飲む事に。
終電でみんなは帰ったけど、ねるは酔いつぶれて寝てしまった為、そのまま泊まる事に。
ソファで寝てしまってるねるに布団をかけ、片付けをしているとガチャガチャとドアが開く。
「飛鳥?」
『よっ。』
「連絡なしに来るなんて珍しいじゃん。」
『びっくりさせようと思って。寝てなくてよかったー。』
「今日宅飲みしてたから…」
そう言いながらねるの存在を思い出す。
やば。怒るかな…
座ろうとソファに向かう飛鳥。
『え、誰?』
ですよねー。
もう声からして怒ってるのが伝わってくる。
片付けをやめて飛鳥に近寄っていく。
「ねる。友達。」
『よくこうやって連れ込んでるんだ。』
「2人で飲んでたんじゃないよ?ふーちゃんとかもいたからね?」
『で?1人だけ残ってると。』
「あんな酔われて帰れなんて無責任な事言えないもん。」
『タクシーで帰らせればよかったじゃん。』
そう言われると何にも言えない。
飛鳥が来るとわかっていたらもちろんそうした。
けど、それは来るからそうしたわけで来なかったら今みたいに泊めていただろう。
『いつでも来ていいよって鍵くれたじゃん。』
「ごめん、でも今日はたまたま…」
『友達付き合いがあるのもわかってる。優がバカみたいに優しいのも知ってる。でも…じゃん。』
「え?ごめん、最後の方全然聞き取れなかった。」
『不安になるじゃん…バカ。』
もう一度言ってくれたものの、その声も今にも消えてしまいそうなほど凄く小さくて。
愛おしくなって後ろから抱きしめる。
「飛鳥…好きだよ。」
『でも、忙しくてなかなか会えないし…』
「ちゃんと画面越しに何かしらで毎日見てるから大丈夫。」
『私は見れてない。』
「確かに。でも毎日連絡取ってるじゃん。」
『もうみんなに言ってよ。齋藤飛鳥と付き合ってるから泊まらないでって。』
「拗ねて泣いちゃうからって?」
そんな会話をしているとモソモソと起き上がるねる。
こっちを見て目をこすり二度見する。
ねる『齋藤飛鳥…?』
『こんばんは…』
「ねる薬飲む?」
ねる『飲む…え?なんで齋藤飛鳥?』
『付き合ってるから。』
ねる『え?誰が?』
『私と優。』
寝起きでプチパニックのねるの質問に、私の変わりに淡々と答えていく飛鳥。
薬と水を持ってねるの近くに行くと、夢?と聞かれる。
「全然現実。」
ねる『まじか。え… 帰った方がいいよね?』
ねるがそう言うとどうするんだと言わんばかりにこっちを見る飛鳥。
「いいよ?泊まっていきな?一緒に寝室でね…」
ねる『寝ない!ここでいい!』
「1人寂しくない?」
ねる『全然!』
飛鳥がお風呂に入ってる間に寝室から布団を運んできて敷いてあげる。
なんだかソワソワしているねる。
ねる『一緒に寝る?って聞こうとした時、飛鳥さんの顔やばかったよ。』
「まじ?まあ全然気にしなくていいよ?」
ねる『ケンカにならない?』
「大丈夫だよ。ならないから。」
ねるももう一度寝たし、飛鳥がお風呂から上がるのを待ちきれず先に寝室へ向かう。
するとガチャとドアが開きバタンっと大きな音を立てて閉まるドア。
「閉め方こっわ。」
『バカ。』
そう一言だけ言い放ってベッドに潜り込む飛鳥。
この後話しかけても全部無視。
まあ朝になれば機嫌戻っていますようにと祈りつつベッドに入り、ごめんねと言って飛鳥の背中にくっついて目を閉じた。
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