[理佐]
届いた通知のSNSを見ると、かき氷を頼む前の私と優のやり取り。
そしてかき氷を食べさせあいっこしている動画が連投されていた。
犯人は1人しかいない。
『おいこら愛佳!やってくれたな!』
愛佳『いいじゃん、みんな喜んでるよほら。』
そう言って愛佳が見せてきた携帯の画面にはたくさんのコメントがきていた。
いや、そういう問題じゃないのよ。
これ以上優がモテたら困るの!
…なんて言えるわけなく黙ってかき氷を口にかきこむ。
愛佳『優、それ食べたい。』
『いいよ?はい、あーん!』
愛佳『ちょ、私にはやんなくていいから!』
『でもふーちゃんがさっき…』
齋藤『なんか言ったっけ?』
『とぼけるなんてずるいぞ!』
みんなといると時間が経つのは早いもので、あっという間に夜になり解散することに。
レジに向かいながら、財布を探すけど見当たらない。
カバンのなかをゴソゴソしていると、後ろから声が。
『理佐の分も払っといた。』
「え?ありがと。」
『毎朝起こしにきてくれるお礼。』
「じゃあかき氷1個じゃ足りない。」
『欲張るねえ。あ、そういえば明日から一緒に帰れない。』
優のその一言で全員が驚いた顔でこっちを向く。
そしてすぐに優の方にみんな向き直る。
愛佳『ついにこの時が…』
齋藤『まさか理佐を差し置いてね…』
尾関『理佐?生きてる?』
織田『やったな…ついにやってくれたな…』
みんな思い思いにブツブツ呟きながらじりじりと優に近寄っていく。
4人に囲まれた優に助けてと言わんばかりの目で見られるけど、スッとそらす。
ごめん、助けてあげるほど優しくないや。
そして誰もが気になっていた事を愛佳が聞いてくれる。
愛佳『今日、中庭歩いてた子?』
その言葉を聞いた瞬間さっきまで4人に怯えた様子だった優の表情がコロっと変わった。
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