ヤクサンの日常

マチクンに会う前の話
「ふぅ…こんなもんですかね」
真夜中の路地裏に人影が一つ。
彼 冴梛 鵺久は現在お楽しみ中…否だった。
既に塊と化した玩具に興味は失せ 被ってしまった返り血を適当に払う。
「まぁまぁ保ちましたね」
今日遊ぶのはこの一人で満足しよう。
と呟きその場を放置し歩き出した。

明日にはまた 警察を嘲笑うように続く連続快楽殺人の記事が世間を賑わすだろう。

「うーん。どうしましょうか」
いつもより余計に汚れている髪を弄りながらきょろきょろと辺りを見回す。
いつもなら一軒位お邪魔して遊んで 足が付くまでの数日そこで居座るのだが 今日は気乗りがしない。
丁度良い空き家は無いだろうか。

「お?」
住宅街を少し抜けた所で足を止める。
そこには少し廃れた 人気の無い教会があった。
「今日は此処にしましょう」
寝床が決まった。

中は意外と綺麗だった。
埃は薄くかかっているものの 物が壊れてたり蜘蛛の巣が張った様子は無い。

礼拝堂や懺悔室らしき部屋を一通り見ると二階へ登って行く。
「…おや」
そこには骨があった。
白骨化した人骨だろう。
服装からしてここの神父だろう。
何故死んでるかは判らないが 取敢えずこの教会に人は来なさそうだ。
ガコッ。
少し鈍い音がしてタンスが開かれる。
中にはさっきの骨が着ていたのと同じ服が数着掛かっていた。
「…」
適当に一着出すと血の乾き出した服を脱ぎ 代わりにそれを羽織る。
一式着替えて元の服を処分するともう一度骨のもとへ向かう。
おもむろにくびに掛かっていた十字架を外し自分に着ける。
「意外と…そうですね…」
手近な所にある眼鏡を掛ける。
「うんうん」
何やら納得し そのまま足どり軽く一階へ降りて行く。

「初めましてですかね?
今から禁欲…というか禁殺?を開始しますー。後 取敢えずこの教会気に入ったんで少しの間居座りますね。その代わりと言ってはなんですが アレの代わりに神父様やりますんでこれからヨロシクお願いします」
にこやかに 実際は信じてもいない神様に挨拶をすると直ぐ様二階へ戻り眠りについてしまった。"自分は何日殺人を我慢できるか"
気紛れで始まった神父生活。

少年に出逢うのはもう少し後の話。


end

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