マチクンの日常

神父サマに会う前の話
特に住みかも無いオレは今日は公園のベンチで寝ていた。
まだ薄暗く新聞屋のバイク音が静かに響く中 オレは目を覚ます。

近くのコンビニに寄って朝食のおにぎりとプリンを買う。
こんな生活だと小食なのは助かる。
所持金は余り無いし 似合わないが甘いものが好きなオレにとってはプリンを付けれるのは正直嬉しい。
…金の出所は聞かないでほしい。
ケンカは強いとだけ言っておく。

取り合えずさっき寝ていたベンチに戻り 食事を開始する。
といっても量は少ないので直ぐに終わり 適当に公園内を歩き回る。
誰かが置いてった雑誌をめくっていると 辺りが大分賑かになってきた。
気付けば通勤時間に差し掛かったようだ。
それからもう少し経つと学生も現れだす。
この時間 住宅街も駅も近いこの公園は遊ぶ奴こそ居ないが通り抜けはちらほらいる。
学生も走っていった。
どうやら遅刻ギリギリの様だがあの制服…この公園からも見える不良校と名高いあそこの生徒なのか。
結構頻繁にここ来るけど初めて真面目な奴見たわ。

察しているかも知れないがオレは学校には行ってない。
行ってると高校生 大体2、3年辺りだろうか。
必要ないから自分の歳すらちゃんと覚えてない。

暇なので街をうろつく。
路地裏や駅前のゲーセンを中心にサボってる学生が居ないか捜してみる。
オトモダチなんて愉快な相手は居ないが ケンカ位なら吹っ掛けてくれるだろう。

居なかった。

つまらない。
あー。あれか。きっと皆試験とかで学校に行ってんだ。
留年とか補習は嫌だろうし。
タイヘンダネー。
しょうがないから放課後になるまで待とう。

ってことで放課後だよ。
早いね。さすがテスト期間。
不機嫌な不良様がいっぱいいるわ。
テンション上がるね。
「んだよ」
目が合った不良様にガンつけられた。
綺麗な赤い髪だ。
「…チッ。オイ 連れてけ」
うーん 三人か。
少ないな。
まぁ楽しい信号カラーの髪の毛と悪くない顔立ちに免じて良いとしよう。

連れて来られたのは裏路地のちょっと開けた絶好のケンカ場。
「やっちまえ」
オレに負けず劣らず短気そうな赤髪さんの一言で青髪さんと黄髪さんが襲いかかってくる。
残念この二人は遅いや。
蹴りやらパンチやらに当たる気も無いのでさっさとカウンターで伸してしまう。
本命は最初から赤髪さんだし。

踏み切った勢いのまま蹴りを入れる。
右手で受け止められお返しに左の拳をプレゼントされるが オレも避ける。

思ったよりかは強かったが飽きたので早めに切り上げた。
隙をついて鳩尾に一発。
後ろに壁があったからもろ喰らったのだろう。
座り込むように見事に気絶してくれた。
まださっきの二人も気絶してるようだし 予定どおり作った額の傷口から血が流れ出したんで。
そろそろ我慢できませんよ。
「いただきます」
あ。今日初めて喋ったや。

流れ出る血を下からゆっくり舐め上げる。
んー。やっぱり旨いわ。
この人の予想どおり甘み強いし。
あ。オレ ヘマトフィリアなんだよね。血液嗜好者って言うの?
いっても吸血鬼みたいに主食って訳じゃないよ。
プリンと同じで好物って所に抑えてあるから。
「ん…」
舐めるのに夢中だったら赤髪さんがピクリと動いた。
そろそろ起きちゃうかな。
久々にツボだったから名残惜しいが さすがにバレるとマズイので明日の食事代だけ頂戴して此処等で退散する。
まぁまた会えればケンカ売ってくれそうだし。

辺りも暗くなってきた。
今日の寝床どうしよう。
またベンチで良いかな。
やっぱりあそこ何かと都合良いし。

明日は学校も試験終わってるとオレも有り難いんだけどな。

こうして今日も夜がふけていく。


end

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