お隣事情 1

それはいつも通り食事を済ませ教会を開いた日の事だった。
学生も社会人もしていないと忘れがちだが今日は日曜日。
サトミさん宅はご主人の運転でバーベキューに行くんだとか。
オレはここ近辺しか知らないから川くらいは見たことあるが森とかは見たこと無い。
教会の裏手は林と化しているがあんな感じだろうか。

ザッザッと規則正しい音で玄関前を掃く。
あまり人が来ない。

この教会が何処の宗教系列なのかは知らないが 来るのは大半が世間話とかの集会所代わりにする人達だ。
だが休日は奥さん方があまり来なくなる。いや全然来なくなる。

神父サマが礼拝堂で鼻歌混じりにナイフの手入れをする位には暇となるのだ。


「コンニチはー」
聞き慣れない声の来客に顔を上げる。
そこには始めて見る二人組がいた。
多少の違いは有るが原型は同じ服を着ている。

制服と言うやつか。

黒髪の方が原型を保っていて 挨拶してきた金髪よりの茶髪の男が着崩している様だ。
しかし町中で見たこと無いブレザーだ。
「初めまして。教会の出入りは自由ですんで」
そう言って来客を知らせに先に中に入る。

大丈夫だとは思うが
何せ神父サマはナイフのお手入れ中だ。

隠してもらわねば。

「神父サマー。お客人が来ましたー」
入口付近から声を掛ける。

案の定気付いていたようで 神父サマはもう何も持っていなかった。

「おや。初めまして」
神父サマが入ってきた二人を見る。
正確には制服を見ている様だが。

「…もしかして隣の学園の生徒さんですか?」
「あぁ。そうだ」
黒髪の方が肯定する。
「知ってるんですか?」
「えぇ。先日からそこの理事長サンの要望で教会を生徒にも開放してるんですよ」
知らなかった。


隣は私立の男子校らしく 全寮制で外出が厳しく制限されているらしい。
だから学園内の信者に規制緩和し特別解放したらしいのだ。

実際はまだ日も経っていないからこの二人が初だが。

「自己紹介が遅れた。俺は学園で生徒会長を務める鬼頭 馨流だ」
これは黒髪の方。少し偉そうだが真面目そうだ。
「俺っちは宮久 鳴衣だよー。因みに生徒会会計やってます☆」
茶髪の方はテンション高め。
俗にチャラ男とか呼ばれてる人種だろうか。

「馨流クンと鳴衣クンですね。私はここで神父をしている冴梛 鵺久と言います」
「あー。オレは神町 真知」

よろしく。と各々自己紹介する。
セイトカイチョウとかセイトカイカイケイはよく判らないが学園内で特に偉いらしい。

「で?で?」
ズイッと鳴衣が迫ってくる。


「やっぱり二人は付き合ってる系??」

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