ショクシツ

真夜中。
オレと神父サマは材料が減ってきたので買い出しに向かっていた。
祈りに来た人が帰り その後来た侵入者にも出て逝ってもらったせいで予定より時間が遅くなってしまった。

「ちょっとすいません」
声を掛けられ振り向くと自転車を引きながらお巡りさんが近付いて来た。
「こんな時間にどちらへ?」
住宅街の近くを男二人歩いているのは怪しかったのか。
ただでさえ神父サマが少し前までは随分遊び回っていた事で住人は夜に出歩くのを控えている。
「…駅前のスーパーまで買い物に」
あそこは教会からは少し遠いが物が充実していて何より遅くまでやっている。
教会に来てから初めてスーパーに行ったが(前はコンビニのみ)今やかなりお世話になっている。
「教会を閉めるのが遅くなって仕舞ったのでこの時間に」
神父サマがオレの言葉に補足を入れる。
「教会?」
「この人 コレでも神父サマやってるんです」

エセ神父だけど。

「あぁ。向こうに在る教会の」
「はい」
「キミはお手伝い?」
「…まぁ。はい」
ガキ扱いは久し振りすぎる。
どうして良いかよく判らない。
ついでに 正直にオレも住んでると言っても良いのかも判らない。
歳が歳だし。家族には思われないだろうし。

「突然すいませんでした。でも 最近は落ち着いてますが例の殺人犯がまだ捕まってないので気を付けてください」
…。
「えぇ。まぁ…そうですね」
「大丈夫ですよ。神のご加護が有りますから」
歯切れの悪いオレの隣でいけしゃあしゃあと言い切る神父サマ。
「そうですか。では もし不審人物がいた場合はいつでも駆け込んで来て下さい。力になります」
そう言って笑顔で去って行くお巡りさん。

いい人そうだ。
しかし残念。
その殺人犯ついさっきも楽しんでましたよ。
しかも落ち着いてないですよ。住所不定の不法侵入者さんがかなりの数 犠牲になってますよ。
「あははー。自分に注意するように言われちゃいました」
…ついでにお巡りさん以上に笑顔浮かべてますよ。

そしてオレらは今日も平和な住宅街をスーパーに向かって歩き出した。


end

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