生き残った王女様

ある日ある国に吉報が舞い込みました。
王女様が産まれたと言うのです。

王女様は国王様から寵愛を受けすくすくと育ちました。

平和が続くその国で笑顔が可愛くみんなに優しい王女様は国民からも愛されておりました。

活気にあるれていたのです。


しかしそんな日々も長くは続きませんでした。


初めは飼っていた小鳥が。仔犬が

どこかへ行ったきり帰っては来ません。

しかし誰もが時期に帰ってくるさ。と慰めるばかりでした。

ですが今度は子供が行方不明になりだしました。
中には大人も混じっています。

ここで民は危機を感じ始めたのです。
人さらいが来た。警備が手薄になっていたのだ。

と。

その中でいなくなるのは女の子が多かったために王女様が狙われていると言う噂が広がりました。

昨今犯罪の無かったこの国では街まで王女様が遊びに来る事は多かったのです。


国王様たちは王女様にお城から出ないように言いました。

すると町中で話すものだから人さらいにも伝わったらしく人が消える事件は落ち着きを取り戻したのです。


それが嵐の前の静けさだと気付いた頃には遅かったのですが。






王女様が街にいないと判って仲間を集めたのでしょうか。

城が落とされたのです。

隣国との通信がぱったり途絶えたのです。



隣国…つまりは私の国から調査隊を派遣したのが三日前。
ちょうど今帰ってきた所です。


調査隊の一人からの現状報告は実に悲惨なものでした。

城も街も国中が血にまみれ在るのは異臭と肉片。

そして無数の狼の姿。

どうやら国に侵入していたのは人さらいではなく狼の群れだったようなのです。

「生存者は?」
「はい。それが見付かったのはたった一名でした」
「一人…ですか」
「はい。狼に囲まれ今にも喰い殺されそうになっていた王女様が」
「そうですか。王女様が生きておられたのですか」
「はい。それに幸いにも無傷でして。保護して今は我が国の城の庭で遊んでおられます」
「それは元気そうで良かった。見てきますね」









まだ幼いと聞いていた王女様はご自身の身に起きた不幸に気付いてはおられないらしく 笑顔で遊んでおりました。

あの笑顔が国王様が自慢していた娘の笑顔なのでしょう。

「王女様」
「なぁに?あなただれ?」
「私はこの国の者ですよ。ようこそ我が国へ お食事を用意しました」

まだ荷が重いであろう事実は王女様がもう少し大きくなってから話すこととなり 今は少しでも警戒してしまわない様に注意して話す。

「ごはん?」
「はい。長旅でお疲れでしょう」
「うんっ!たべる」

にこにこと愛らしい笑顔を振り撒く王女様。

「じゃあわんわんよんでくるね」
「………それは」
「いつもいっしょにたべてんの」

愛犬かは判りませんがきっと可愛がっていたのでしょう。

「すみません。連れてきていないので また今度一緒に食べましょうね?」

とは言えきっとその犬も……。

「え?いるよ?」


どういう事でしょう?


「ばしゃのうしろをついてきていたもん」
「え?」

しかし生き物はみんな狼に喰われ尽くしていたそうですが…。

「あっ!きたわんわん」
「えっ!?アレは…」

「いっしょにいっぱいたべようね」




犬じゃなくて………






end

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