金-カネ-の街
金の街と呼ばれる愛すら金で買える街。
妻にしたい者が既に誰かの者なのならば金を払って買えば良い。
それが嫌なら更に金を稼げば良い。
だからここには貧民層が存在しない。
金がなければ出ていくか金持ちの所有"物"になるしか生きる道はないから。
貧乏"人"は居ないのだ。
しかし例外はどこにでも存在するように
唯一金で買えない少年が居る。
家がなく金がない。
彼は唯一の"貧乏人"。
少年に出会いついぞ忘れた愛に目覚めた人々。
金よりも愛を優先させて旅立つ人々。
彼らが減るだけ金に夢を見た新たな居住者は増え均衡は常に保たれる。
彼らは知らない。
純粋無垢 この街に不釣り合いな素朴で美しい少年。
そんな少年は、"人"は存在しないことを。
彼が金で買えないのは単にこの街一の金持ちの"所有物"だからだということを。
その金持ちの座を脅かす者は寸前に愛に目覚め街を出て行く事を。
end
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