恋愛感染注意報

「お前の事が好きだ」
「は?」
「男同士とか、話したことのないクラスメイトとか障害は色々有ると思う。故にお前への恋文をしたためて来た」
「へ?こいぶ…?」
「ラブレターと言うやつだ」
「へー」
「やる。全てとは言わない。だが読んだくれると、その、…嬉しい」
「…」
「じゃ、」
「あ、おい!………。この厚み、何百ページあんだよ…」

後日

「で?」
「"で?"って?」
「お前、その男にコクられたその後どおしたんだよ」
「こいぶみよんだ。」
「全部?」
「全部。」
「マジか…」
「いやぁ、凄いんだよマジで。流石に全部はキツいよなーとか思ってたんだけどさ、読んでいる内にどんどん引き込まれちゃってさ。登場人物の心情の描写が繊細で、」
「え?」
「ん?」
「お前、校舎裏まで何しに行ったの?おすすめの小説でも借りてきたんか」
「いやいや。そいつに貰ったこいぶみだよ。とにかく何かもうさ、男同士とか問題じゃなくね?知らねーんなら今から互いを知っていけば良いんじゃね?とか思えちゃって。途中から本気で二人の仲を応援しちゃったよ。最後がぼかされてる感じがあざといよな。こっちで勝手に想像膨らませちゃうものさ。でもあの流れでバッドエンドとか無いべ」
「いや、ハピエンだとしたらお前があのただのクラスメイト男とどうこうならなきゃなんないこと分かってる?」
「ハッ!」
「気付いて無かったんかい!」
「…悩むな…」
「悩むなよ。お前、完全に相手のペースに呑まれてるだけだから。正気になれや」

更に後日

「悪いな、呼び出して」
「否。前回は俺からだったからな。それで?これはつまり告白の返事でも聞けるのだろうか?」
「そうなんだけどさ、やっぱり俺とお前じゃ、」
「その前に良いか?」
「え?」
「これ、呼び出しの手紙を貰ってから改めて書いたものだ。先の恋文をすべて読んでくれたのなら、これも読んでもらいたい…答えはその後では駄目か?」
「…。いや、全然オッケ」

その後。

「よー、ちゃんと断ってきたのか…って。なんだそれ。二章を貰ってきたのか?」
「ちげーよ。前回は二人がいかにして距離を縮めていこうかって話だったけど、今度のはその前の話。何で好きになったのかきっかけが描かれてんだよ」
「教室に戻ってくるまでの間に既に読んだのか」
「待ちきれないじゃん。気になるじゃん」
「あー。…そう。」

結果。

「彼等の未来は俺等で紡ぐことになった」
「あー。まー、そーなる気はしていたよ。…お前がそれで良いなら良いんでね?俺にゃカンケー無いし。」
「でなんだがお前に相談が」
「え、何?感想なら聞いてやってんだろ。で、相談は無理なこと分かってんだろ、俺は彼女もましてや彼氏もいない。」
「二人で話し合った結果、折角なら友人、つまりお前も登場させたくなってな」
「ラブレターだよな。なんだよ登場て。つかお前らの間男とか勘弁だからな」
「あっちのツレでサッカー部のエースいたろ?」
「あの女子に人気で成績も優秀な。なぜ同性からも慕われるか意味わからん。俺はあいつが嫌いだ…って、お前の彼氏のお友達か。わり」
「そう、その目の敵な感じ。良い」
「は?」
「俺らは何の障害もなくハピエンコースを辿っているから、脇で進展する友人の恋物語は紆余曲折を経てゴールへ向かった方が良いかと」
「いや、お前らにも障害有るだろ。つか、は?俺は嫌だからな。野郎とくっつく趣味はねーからな」
「最初はみんなそーなんだって」
「最後までそーなんだって!」
「でもそいつ、お前が探してたあの漫画、全巻持ってるらしいぞ?」
「………え?」
「それ以外にも趣味近そーだし、恋仲は置いといて、お近づきになるのは悪くないと思う」
「…まぁ、悪いやつじゃなさそうだな。…お前がどおしてもって言うなら、会ってやってもいいぞ」
「お!んじゃ予定取り付けとくわ」
「おー。宜しく」


end
(単純なやつだな)
(お前が言うな)

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