とある生徒会のクリスマス
ここはとある王道学園の生徒会室。
役員たちはハロウィンに引き続き双子の庶務の陰謀…もとい 提案でクリスマスの仮装をすることになったのだ。
「「みんなちゃんと着たねー?」」
毎度ながらお馴染みの見事なシンクロで生徒会役員に声を掛ける。
「着替えました…が。色々と気になることが有ります」
「なーに?」
「今なら質問に答えましょー」
みんなを代表して副会長が口を開く。
双子は今度は交互に喋る。目を閉じていたら一人で喋っているがごとく滑らかだ。
「まず サンタだらけなことについては良いです。ハロウィンほど種類があるとは思えませんので」
見渡しながら副会長のは続ける。
「しかし何故私の服は黒なのでしょうね?」
「そりゃあ」
「勿論」
「「腹の色に揃えてみましたー☆」」
最初は青とかにしようと思ったんだけどね。とあっけらかんと答えられ副会長の頬が微かにひきつる。
「まぁこれについてはいいです」
「「…否定しないんだー」」
「お黙りなさい」
バッサリ黒いサンタ服についての話は終わらせる。
多分薄々気付いてはいたのだろう。
「貴方たちの服がオレンジな事についても構いません」
「「好きな色なんだもん」」
「知っています」
またもやばっさり。
因みに双子は共に膝ほどの半ズボンタイプだ。
「問題は次からです」
黒サンタがオレンジサンタに書記を指差す。正確には服だが。
「何ですかアレは!?」
大人しく席に着いてはいるがその存在感は絶大だ。
一際異彩を放つ書記は形事態は普通のサンタ服なのだが色がまた派手以外の言いようがない。
輝かしい金色なのだ。
「ま、ぶし…」
書記は目を擦り眉を寄せる。
この分では目を閉じても残像が残りそうだ。
「因みに袖とかの綿の部分は銀にしてみました☆」
「これなら静かでも目立つでしょ?」
スチャと二人揃ってサングラスを取り出して掛ける。
グラサン掛けたサンタ(オレンジ)が二人…微妙にシュールな光景だ。
「あれでは悪目立ちでしょうに。しかしまぁ…よく売ってましたね」
「「特注しました☆」」
「…………自費でしょうね」
「それについては」
「ご安心を☆」
ならいいです…。と諦める副会長。
書記は眩しさに負けて机に伏せて動かなくなってしまった。
「じゃあアレも…?」
「「勿論特注でっす☆」」
今度話題に挙がったのは会計。
いつの間にか室内に設置されていた木をクリスマス仕様に飾っている。
これまた双子がクリスマスツリー用に用意した物だから飾りについても事欠かない。
「今度は逆に目立たないようにと言うことで」
「…真っ白なんですね」
「イエッス☆」
そう。木の手前に居る会計はこれでもかと言うほど白いのだ。
綿の部分すら他同様白のままだから髪の毛以外は色の存在を確認できない。
「ん?呼んだぁ?」
「いいえ。話題には出ていましたが」
「「服の色についてね☆」」
「あぁ。目立たないってやつねぇ」
飾り付けを止めて会計も話題に入ってくる。
「じゃあ双子ちゃんの気遣いを無駄にしないように俺は行こっかなぁ」
「はぁ?何処に行くんです」
「もち にゃんにゃんしに行くんだよぉ。その為の白でしょ?精え…」
「聞いた私が馬鹿でした」
「「違ったんだけどまぁ良いかー」」
「…良くないですよ」
気にせずばいちゃ☆と会計は出ていってしまう。
副会長は既に止める気も起きないらしい。
「もう良いです。仕事しましょう」
「「えー。リョウカーイ」」
「………おい」
「なんです?」
双子への質疑に疲れた副会長が席に着こうとすると 今まで黙っていた会長が口を挟む。
「俺についてはスルーか」
「おかしな所が有りませんから」
会長を一瞥して首を捻る。
「色も別に一般的ですし 形にも問題は無いと思いますが」
「…お前のそれはワザとだろ」
「判ります?間違ったことは行っていませんが」
ニヤニヤには程遠い綺麗な笑顔で肯定されてしまった会長。
と言うのも会長に至ってはトナカイになっていたのだ。
着ぐるみのようなタイプでトナカイの口から顔が出ている。
むしろ喰われている様にも見える。
「似合いますよ」
「嬉しくねぇ」
「と言いつつも着てくれてんだよねー」
「優しいよねー」
「うるせぇよ」
口は悪いがいい人な会長様。
ただ恥ずかしかったのか書記みたいに机に伏せてしまった。
いよいよトナカイに食い付かれている。
「はぁ…貴方達以外戦闘不能になってしまいましたんで しっかり働いてください。ね?」
「「げ…」」
その日は双子の悲鳴が響いたとか響かないとか。
end
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