雨宿り
「雨だねぇ」
「…え？あぁ。そうですね」
「下駄箱で立ち往生ってことは傘持って無いの？」
「えぇまぁ」
「そっか…なんで敬語？」
「いや、親しい訳じゃないですし、」
「でもクラスメートじゃんか」
「まぁ」
「タメ口で良いよ。寧ろそうして？」
「はぁ………うん。わかった」
「えへへ。有難う」
「別に」
「え？照れてる？」
「照れてない。」
「そう？じゃあこっち向いてよ」
「やだ。」
・
・
・
「やまないね」
「うん」
「じゃあさ、」
「ん？」
「タメ口にしてくれたお礼」
「なんだそれ」
「俺の傘に入れてあげよう」
「あーサンキュ。…………ん？」
「どうかした？」
「おま、傘、持ってたのか!?」
「折り畳み一本だけど」
「充分だろ！雨脚強くなる前に帰れよっ」
「君こそ」
「う"…やむかもしれないし、」
「さっきと言ってることが逆じゃない？」
「………」
「まぁいいや。家どっち？」
「××丁目方面。」
「じゃあ入りなよ。同じ方向だから」
「でも…」
「あー…。なんで俺が一緒に雨宿りしていたかわかる？」
「知らないし」
「君と話したかったんだよ。」
「そうかい」
「だから帰りがてら話そうよ」
「……そうかい」
・
・
・
「…やっぱり傘小さくね？」
「あ、そっち濡れちゃった？」
「いや、お前が濡れてんじゃん。」
「良いんだよ」
「なにそれ」
「好きな子と帰れるんだから」
「なにそれ。………………ん？」
「明日から覚悟してね？」
「……………ん？」
end
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