小さなお店
2011/08/03




「えー、っと。凪は妹だと」
「そうです」
「五日もの間家出してたのね?」
「僕にはもっと長く感じましたが、実際はそうです」

あれから綱吉は二人ともテーブル席に座らせ、六道骸と名乗る凪の兄に色々と尋ねた。いわく「オイコラいきなり乗り込んで来たんだ。質問に答えろ」らしい。

「どうして家出したんだよ」
「それは…」
「言え」
「ハイ。要約すれば僕が凪の行動を制限したのが原因です」
「例えば?」
「八時以降は一人で外に出るなとか、出て行く時は何処に誰と行くを言ってから、とかですかね」

その言葉に綱吉は頭を抱えた。いったいいくつだと言うのだ。義務教育中の身ならまだしも、十八と言えばもう思春期も終わりを迎えた頃である。そんな娘がこうもいちいち言われれば、凪でなくとも反論の一つや二つしたくもなるのは当然だろう。

「妹想いなのね」

それにしてはエスカレートし過ぎだよ母さん。そんな言葉を綱吉はため息と引き換えに飲み込んだ。

「そうです!ただ僕は凪が大事なだけなのです!僕の凪に悪い虫がつくことを考えるだけで、もう」

耐え切れないという表情をする骸に哀れむような目をする向かいに座る綱吉。綱吉の顔には「駄目だコイツ」とはっきりと書かれているようだ。

「兄さんは…私を監視下におきたいだけなのよ…」
「違いますよ!?僕はただ心配で心配で…」
「ならもう少し私の好きにしてもいいじゃない!」

ぐっと力強い言葉に骸もすこしたじろいだらしい。大人しい子の反抗期だろうか。

「凪…」
「私のことも、いつも兄さんが決めて…」
「シスコン過ぎるだろ」

呆れた顔して呟いた綱吉にさすがに母も思ったのだろう。過保護過ぎよ。と骸に言った。

「凪ちゃんをもう少し信じてあげて?」
「信じてますよ」
「骸君のそれは信用というよりか、えっと…」
「支配だろ」

さっきより大きなため息をついて、綱吉はテーブルに頬杖をついた。やっぱり目には呆れてるぞと映っている。

「お前のそれはな、支配に近い。信じるとかそんなんじゃないよ。もっと自由にさせてやれよ」
「他人の貴方に言われたくはありませんね」
「オレだって言いたくねーよ。でもな、繰り替えしてっと凪に兄さん大嫌い!とか言われんじゃないの」

うっとひるんだ骸にはどうやら効果があったらしい。というより言われてたようだ。口をつぐんだまま悔しそうな顔をしている。

「そう言われたくないんでしょう?」
「……私も、できるなら言いたくない」
「凪…」
「だから、兄さん。もう少し私の自由にさせて?私は兄さんの妹よ?」

じっと骸を見据える凪に会った時に感じた不安げなところは消えていた。不安定ではあるが、どことなく安心できるような感覚にさせられる。

「兄貴だろ?妹も成長すんだよ。兄貴もしろよ」
「…そう、ですね…わかりました。もう少し僕も成長します」

その声に凪は表情を明るくさせ、沢田母子も目を見合わせた。

「ありがとう、兄さん」

凪なりににっこりと笑えば、頑張りますよと骸が苦笑する。何故ここまで凪に骸が執着していたのかは後々聞かされたのだが、それはまた別のお話。

「仲直りもしたことだし、今日はうちで食べて行きなさいな?」
「いいの…?」
「もちろん」
「凪の分はいいけど骸は実費な」
「僕に対してひどすぎませんか!」
「気のせい」

そのよるナッツには兄妹仲良く食事をする姿があったんだとか。









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長ぇよ!←

六道凪 18歳
高校三年生。独特な後頭部は兄と似てる。
大人しく感情を表情に出すのが少し苦手な様子。だけど聞かれたら答えるし、きちんと意思表明はできる。
兄の束縛(笑)に嫌気がさしてた模様。ぷっちんと切れて家出。それでも彼のシスコン具合を容認できる懐の広さ。周りはすごいと思ってるけど、本人は気付いてないのかもしれない。
箱入り娘として娘に世話されたため少し世間知らずだったりもする。


六道骸 25歳
仕事は不明だが本人いわく「大変な時はなくはありませんが、まあ家にいれるから楽な仕事ですよ」だそうだ。凪と似たパイナップル頭。
勝ち気の敬語口調が特徴。皮肉なんて使わないわけがない。少し傲慢。でも凪のことになれば心配性の過保護。度が過ぎれば凪に嫌われる。うざがられる程度だが。それにもいちいちショックを受けたりと反応するシスコン。現在通り赤と藍のオッドアイ。赤い右目にはよくみると六の文字がみえるのも健在。
見た目は大変いいのだが、喋りすぎるとちょっぴり残念。でもきっと凪さえ絡まないなら常連客の中では三本の指に入る常識人(にしたい)。

両親不明。兄妹で二人暮し。




こいつらは色々未定がありすぎる←
長かったー。



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