小さなお店
2011/08/02




凪が目覚めて二時間が経過していた。相変わらず何故あんなところにいたのかとかは言おうとしない。ただわかったことは口数は少ないが聞いたことにはきちんと答える。言いたくないことは除いて、だが。

「凪ちゃんはいくつなの?」
「十八…」
「あら!まだ十代なのね。学校は?」
「夏休み、だから」
「あー、そういえばそんな次期よね。宿題とかはしたの?」
「ほとんど終わってる」

女性同士話せるのだろうか。先程綱吉が座っていたところに奈々が座り、凪と和やかに会話をしている。綱吉はカウンター席からそれを見ていた。
それともう一つ気付いたのが感情の表し方だ。表情に表すのはどうやら下手らしく、少し反応が乏しく見える。だがきっと見えるだげで、彼女は彼女なりの表現なんだと綱吉は思えた。自分の先輩である雲雀も大笑いなどめったにする様な人物ではないため、気にする綱吉でも奈々でもない。

「すみません!」

だんっ、と大きな音がして戸が開いた。肩で息をする男性がそこにいた。

「え、っと?まだ営業時間には早いですが…?」

まだcloseと書かれたプレートはかかっているはず。立ち上がり男性に近寄れば、綱吉はぐっと肩を捕まれた。

「凪は!凪はいますか!」

必死の形相で叫ばれるもんだから、あちらです。とつい奈々と凪のいる方を指差した。

「凪!」

そう言うなり綱吉を横に男性はすっ飛んでいった。迫力というか、形相に綱吉はただただぽかんとしてしまったが、誰なんだと意識を取り戻し彼が行った方へ足を運んだ。

「にい、さん」

ぽかんとする母子をよそに凪が口を開いた。兄さん、と。確かにそう言ったのだ。

「凪!探しましたよ。こんな長い間どこへ行っていたのですか!本当に、本当に心配かけて…!」
「兄さん、たった五日よ」
「僕にとっては二週間のように感じました」
「ちょい待て」

混乱する頭を必死で抑え、まだ呆然とする奈々に代わり綱吉が言葉を発した。

「誰だお前」
「ああ、すみません。自己紹介がまだでしたね」

先程の取り乱した様子とは一変して、にこりと笑みを綱吉に向ければもうそれは別人レベル。お前はなんなんだ。なんて言えるわけない綱吉ははあ。と小さく呟いた。

「初めまして。六道骸と申します。凪の兄です」








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骸・凪登場編(?)が
終わったら設定書きます。
次ですねー。



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