小さなお店
2011/07/31




「ただいまー」

静かな店に広がる声。本日は日曜日で、昼間の営業はお休みである。日曜日の昼の営業が休みなのは固定だが、基本的にはお盆や正月を除いて不定期休業の為、一週間程前からこの日は休むという紙が見やすいところに張られている。といっても一年で言えば片手におさまる程度だ。
話を戻そう。綱吉が帰って来たのは普通であるが、背中には大きな荷物というより人が背負われていた。

「ツッ君、どちら様なの?」
「オレは綱吉です」
「わかってるわよ。その後ろの子」

パタパタと奥から出て来た奈々が覗き込めば眠ったように意識のない女の子。髪型は特徴的ではあれど、見た感じからして綺麗な子とわかるような女の子だった。

「名前はわかんない」
「?」
「拾ったんだよ」

まるで捨て猫を拾ったかのように綱吉は言った。だがしかし捨ててきなさい、などと言う奈々ではない。そうなの。と頷いてとりあえずではあるがテーブル席のソファに寝かせることにした。

「どこで?」
「河川敷の橋の下で。うずくまってて、どうしたんだろうって見てたら倒れたから連れて来た」
「熱射病かしら…?」
「かもしれない。でも随分細いよ。痩せこけてる」
「ご飯食べてないのかもしれないわね」

一応と思って。とテーブルに置いたのはスポーツ飲料。近くの自販機で買ったのだろう。水滴が周りについていた。
奈々は女の子が起きたら何か食べれる物を作りにキッチンへ戻って行った。

「う、うん…」

数分後、小さなうめき声を上げて少女は目を覚ました。少女と言うには大人びているが女性と言うには少しあどけない。おっ。と言う綱吉の声と知らない天井に驚いたのだろう。勢いよく彼女は起き上がった。

「ここは…?」
「うちの店。大丈夫?」

きょとんとした表情の彼女。向かいに座り、頬杖をついたまま再度綱吉は尋ねた。

「大丈夫?」
「あ、はい…」
「とりあえずそれ飲みなよ」

促すはスポーツ飲料。ゆっくりと言うより恐る恐る手を伸ばす。
大きな目とどこか青白いような少女に綱吉は不安になる。

「毒なんか入ってないから」

ちらりと綱吉を見て、またゆっくりと蓋を開けて口を付けた。何も飲んでいなかったのだろうか。せきを切ったように半分くらい一気に彼女は飲みほした。

「あの、ありがとう…」
「どういたしまして。色々質問してもいい?」
こくんと小さく頷いた彼女に綱吉は微笑みかける。それだけのことだが、彼女はどこか安堵した様だった。

「名前は?」
「…凪」
「あ、オレ綱吉っての。この店の店長」
「店長さん」
「そ。いつからあそこにいたの?」
「えっと…四日前くらい」
「……なんでまた」
「………」
「答えたくないってか」

はあとため息を零すと同時に奈々がおかゆを持って来た。梅干し付きだ。奈々がどうぞと差し出せば、凪は戸惑ったようではあったが小さくありがとうと行って食べ始めた。












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凪の詳しいことは後ほど!
凪はもちろんクローム髑髏です。

飲料の いん って押したら
淫乱って出たよ。
なにこの携帯さんは!



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