本丸記 | ナノ

ちょっ、どうすんのどうすんのどうすんの!?
朝ごはん持ってきてもらうってどんなお嬢様だよめっちゃ油断してた。というかもうこんな時間なのか。部屋の探索に気を取られ過ぎて時間気にするの忘れてた。

・・・一旦落ち着こう。今やらなきゃいけないのは外にいる誰かさんにそこの襖を開けさせないことだ。取り敢えずそこに置いといて的なことを言って下がってもらおう。

えっと、こんな容姿だし軽い感じで言えばいいのかな。意外と敬語キャラだったり?それとも朝が弱そうだからちょっと不機嫌気味に?そもそも寝坊常習犯だからまだ布団の中にいなきゃダメだとか?
うわどれが正解だこれ。

「主?」
「あっ、あー・・・ありがとっ。そこ置いといてもらえるー?」

やっぱ若いしキラキラ女子っぽいしこれで間違いないっしょ。少し焦って声が上擦ったけど。まぁ寝起きだからご愛嬌ってことで。
さぁ、どうだ!

「えっ、あ、はいっ!本日は主様のお好きな甘い卵焼きがございますので冷めないうちにお召し上がりください!では俺はこれで・・・」

トットットッと軽い足音が遠ざかっていった。
・・・なんか間違えた気がする。相手ちょっと驚いてたよ。本日は〜から声が明るかったよ。
不審がる様子はなかったから完全に間違ってるってわけじゃないみたいだけど・・・何、この子意外とクールだったの?冷めてる系だったの?

何はともあれミッションコンプリートだ。さてさてご飯をありがたくいただいて、読み方の分からない"審神者"とやらがなんなのかをさっきの冊子で詳しく勉強しましょうか。

──────────

──うんうん。昼まで掛けて冊子を読み込んでようやく色々把握できた。途中膳を下げに来た、刀剣男士?とやらに「本日の予定はどうされますか」と聞かれて今度は少しつっけんどんに「今日はちょっと忙しいの。そっちで調節して」と言ったら少し落ち込んだ様子で返事をして下がっていった。ゴメンネ。

まぁその話は置いておいて、さて困った。どうやら“審神者”というのは少々特殊な職業らしい。どうすんのさ私特別な力とか持ってないよ?あ、でも今はこの身体だから能力的なものは問題ないのかな。

取り敢えず・・・うん、着替えてこの建物をぐるっと回ってみようかな。一応私はここの主みたいだし、外に出たところで変なことはないでしょ。尤も、パソコンにあった情報では何十人の刀剣と共同生活してるみたいだけど。刀とは言えど私以外全員男とか・・・紅一点すぎてゾッとする。
何はともあれそんな大所帯なら人間関係とかあるだろうし、無闇に接触しない方が良いかもしれないね。

箪笥から服を引っ張り出して着替えて、いざ出発です。


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