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ジュリアンとシャーリーが、少し遅くなった昼食を食べ終えた頃、誰かが玄関の扉を開ける音がした。

「ネイサン!まぁ、どうしたの?こんな時間に…
何かあったの?」

「実はな……
ジュリアン…!どうしてあんたがここに?」

「ネイサンこそ、どうしたんだ?
俺は町を発つことにしたから、せめてあんたの代わりに奥さんに一言挨拶をと思って来たんだが、そしたら…」

「ちょうど部屋の模様替えを始めた所だったの。
そしたら、ジュリアンさんが全部片付けて下さったのよ。
ほら、見て!こんなに広くなったわ。」

「シャーリー、おまえ、大事な身体だっていうのに何、馬鹿なことをやってるんだ。
なにかあったらどうするんだ。
ジュリアン、すまなかったな。
でも、本当に助かったよ。ありがとうな。
そういえば、町を発つって、えらく急だな。
…鉱山には行かないのか?」

「鉱山は地震で…」

「え?」

「い、いや…地震で地盤が緩んでるかもしれないじゃないか。
あのあたりはけっこうやわらかな地質だったからな。
また地震が起こっても怖いし、この際だから、この先の町の方に行こうかと思ってな。」

「そうだったのか。それは残念だな。
せっかく仲良くなれた所だったのに…」

「それは俺も同じ気持ちなんだけどな。
……それで、ネイサン、今日はどうかしたのか?」

「あぁ、それなんだがな。
ポールを見なかったか?
あいつが持って来る筈の書類がないと進められない仕事があるんだが、まだ来てないんだ。」

「そういえば、昨日、俺を訪ねて宿屋へ来てくれたようだが、俺は炭坑にいたからな。」

「宿に…しかし、あんたがいなかったら家に帰るはずだよな。
家にはいなかったんだ。一体、どこへ行っちまったんだろう…
とにかく女将にもう一度話を聞いてみよう。」







「なんだって!?
じゃあ、ポールが来たのは、地震の前だったっていうのか?!」

女将の話によると、ポールが来たのは、地震の起きる何時間も前だということだった。
前日、ジュリアンが何時頃帰って来たかとポールに尋ねられた女将は、ジュリアンは昨夜から帰っていないようだと答えたとの事だった。


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