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「どうかしたのか、ジュリアン。
なんだかそわそわしてるようだが…」

「いや…なんでもない。」

その返答とは裏腹に、ジュリアンの瞳は忙しなくあたりを見回していた。
幸いなことに厨房では今は調理はされておらず、火は使われてはいない。
食堂にも特に危険そうなものは見当たらなかったため、これなら大丈夫だろうと思えた。




「ジュリアン、それで仕事のことはどうする?」

「それなんだが…」

その時、突然、ぐらりと地面が揺れた。



「地震だ!
皆、注意しろよ!」

誰かの声が食堂に響いた。
その声が間に合わず、酒の瓶を持っていた男がバランスを崩して倒れたが、たまたま落ちた具合が良かったのか瓶は転がっただけで割れることはなかった。



「大丈夫か?」

地震はすぐにおさまり、倒れた男もすぐに立ち上がった。
特に怪我もしていないようだった。



「けっこう大きな揺れだったな。」

男達は、今の地震について言葉を交わす。
テーブルから落ちた瓶等が何本か割れたりはしたが、それで怪我をした者もいないようだ。
厨房の中は鍋や調理器具がいくつか落ち、棚にあった食器も割れたものがあったが、女性には怪我はないようだ。
早速、落ちたものや割れたものの片付けを始める者、外の様子を見に行く者、何事もなかったように酒を飲む者もいた。



「ジュリアン、大丈夫だとは思うが、やっぱりシャーリーのことが気になる。
俺は町に行ってみるが、あんたはどうする?」

「俺も行くよ。」

二人は、町へ向かった。
炭坑から町への山道は、特に酷く崩れたような場所は見当たらなかった。
崩れた鉱山とはさほど離れてはいないのだが、おそらくは地質が違うのだろうとジュリアンは考えていた。

二人が、町に着いたのは、もうあたりが暗くなった頃だった。



「シャーリー!無事か!?」

家の中に入るなり、ネイサンが大きな声で叫んだ。



「まぁ、ネイサン!一体どうしたの?」

「シャーリー!」

突然の夫の帰宅に驚くシャーリーをネイサンは強く抱き締めた。



「地震があったから、心配で…」

「そうだったの…
けっこう大きな地震だったけど、花瓶が割れただけでその他は特になんともなかったわ。
でも、心配してくれて嬉しいわ。
ありがとう、ネイサン!」

シャーリーとネイサンは再び強く抱き合った。


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