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『そんなことはどうでも良いではないか。
ああして子供は元気にしているのだから。』

「そりゃあそうだが…ところで、今はいつなんだ?」

『わからん。』

「何〜〜??」

ジュリアンは宿屋に取って返すと、またすぐに飛び出してきた。



「大変だ!
一ヶ月近くも戻ってる!」

『そうか、それはたいしたものだな。』

「何がだ?」

『いや…実を言うと戻る時間がどのくらいかはわかってなかったのだ。』

「何〜〜?」

『わからないというか…その時によっても違うのだがな。』

「どういうことだ?」

『祈りの力によって違うのかもしれんな。
おまえはよほど真剣にあの子供を助けたいと想ったんだろうな。』

「そりゃそうだ!
俺のせいであの子は…」

『だから、それは違うと言っているではないか。』

「違う、違わねぇの問題じゃねぇ!
俺の気持ちがおさまらないんだ!」

『そうか。しかし、とりあえずはあの子の無事な姿を見られたのだから良いではないか。』

「おまえ…綺麗な顔してるわりには本当にいやな奴だな…
しかも、『とりあえず』ってのは何だ!」

『言葉通りだ。当然のことだが、子供は今は元気にしている。この先はわからんが。』

「…じゃ…やっぱりあの子供は…?」

『それはわからん。』

「わからんだと?!なんて無責任な…また同じことが起きるのなら、過去に戻っても意味なんてないじゃねぇか!」

『人の行動や心を操ることなど誰にも出来ぬのだ。
それがたとえ小さな子供であってもな。
だから、あの子供がこの先どうなるかは私にはわからんと言っているのだ。』

「なんだとぉ〜!
ようし!わかった!
なら、俺が必ず守ってやるからな!」



そうは言ったものの、何をどうすればあの子を助けられるのか?
ジュリアンは考え、とにかくこの宿に泊まり込み、あの子供をずっと監視することにした。
見張ってさえいればいざという時に助ける事が出来るのではないかと考えたのだ。
早速、ジュリアンはエレスを連れて宿の中に戻った。


「…今度は何でしょう?」

「あ…さっきはすまなかったな。
泊まりたいんだ。」

「では、こちらにお名前を…」

ジュリアンは自分の名前を書き終えると振り向き、エレスに尋ねた。



「おまえ、ファミリーネームはなんだっけ?」

『そんなものはない。』

「ない?そうだよなぁ…石にファミリーネームがある方がおかしいってもんだよな…」


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