ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
エミリア3






「エミリア!どこほっつき歩いてたんだ!
こんな忙しい時間に…」

町はずれの一角に、エミリアの酒場はあった。
似たような小汚い酒場が何軒か建ち並ぶ一角の、一番の隅の店だった。
酔っ払いの大きな声とグラスの擦れる音が混じりあい、あたりには酒のにおいとチキンか何かを焼いたような香ばしいにおいが漂う。
店の中に入ると、エミリアの母親らしき女性の激しい叱責の声が飛んだ。



「……あ…すみません。
この近くで僕がエミリアに道を尋ねたもので…」

「いや、あんたのせいじゃないよ。
この子はね、さっきちょっとしたことでぷいとむくれて出て行ったんだよ。
女の子だっていうのにこの子は愛想は悪いし、気ばっかり強くてね。」

「母さん、そんな事言わなくて良いでしょ!」

カウンターの中に入ったエミリアは薄汚れたエプロンを腰に巻き、てきぱきと溜まった洗い物に手を付けた。



「あなた、何か嫌いなものはある?」

「え?僕?
僕は…特にないけど…」

「じゃあ、適当に何か作るから、そこに座ってて。」

エミリアは、そう言ってカウンターの隅を顎で示した。
リオ達は言われるままに、席に腰を降ろす。
見た所、店で働いているのはエミリアと母親だけのようだった。



「エミリアは、お母さんと二人暮らしなのかな?」

「……おい…また、なにかおせっかいなことするつもりじゃないだろうな?」

ラルフはリオには顔を向けず、小さな声で呟いた。



「まさか…!?
僕は、ただお腹がすいてたから…」

「……どうだかな…」

ラルフは、リオに呆れたような瞳を向けた。


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