ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地9






(マリアン…やっと戻って来たよ…)

数ヶ月ぶりの我が家は、この場所を離れた時と少しも変わってはいなかった。
マリアンの部屋のベッドを見ると、当時のマリアンの様子がまるで昨日のことのようにリオの脳裏に浮かび上がる。

力のない視線で窓から空ばかりみつめていたマリアン…
ただ、ゆったりと雲が流れるだけの空の景色を、マリアンはとても愛しげにみつめていたことをリオは切ない想いで思い出す。
頬に流れる涙を拭った時、後ろから唐突に男の声が響いた。



「誰だ!そこで何をしている!?」

振り向いた先にいたのは、幼馴染のショーンだった。



「ショーン!」

「リオ…!戻って来たのか!」

二人は抱きあい、久し振りの再会を喜んだ。



「リオ…マリアンは…?」

その問いかけに、リオは、俯いて首を振る。



「……そうだったのか……
大変だったな、リオ…ずいぶん痩せたんじゃないか?大丈夫なのか?
おまえは十分なことをやったよ。
マリアンもきっと喜んでるさ…」

ショーンは、リオの肩を優しく叩いた。
リオは、それに対して、再び、俯いて首を振る。



「……僕は、何も出来なかった。
いや…それどころか、僕がマリアンの命を縮めたんじゃないかと思ってる…」

「馬鹿なことを言うな。
おまえは十分やったよ。
マリアンのために、あんなに働いて…」

「僕があんな話を信じて、マリアンを旅に連れ出したりしなければ…
マリアンはまだ生きていたかもしれない…」

「……リオ、座って話そうよ。」

ショーンは、リオの手を取り、居間の長椅子に腰掛けさせ、自分もその隣に腰かけた。



「リオ…最終的に旅に出ることを決めたのはマリアンだ。
そりゃあ、マリアンはあんな身体だったから俺達もそんなマリアンを旅に出すのは反対だったけど、どうしても行きたいって言ったのはマリアンだぞ。
マリアンがそう言ったからこそ、俺達はそれ以上反対しなかったんだ。」

「……マリアンはそれほど生きたかったんだ。
なのに……僕は、魔法使いをみつけられなかった…」

リオは肩を落とし、深く俯く。


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