ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地10


「リオ…
俺はそうじゃないと思う。
マリアンは、自分がもう長くは生きられないという現実を受け入れていた。
きっと、魔法使いにも会えるとは考えていなかったと思うんだ。
それでも、マリアンが旅に出たのは、外の世界を見たかったのと…
そして、なにより……おまえとの思い出を作りたかったからだと思うよ。
こんな家の中にひきこもって死を待つより、マリアンは旅に出てきっと幸せだったと思う…」

「勝手なことを言うな!
マリアンはまだ18だぞ!
マリアンはまだ生きたかったに決まってる…
旅だって辛かったに決まってる…
それでも、魔法使いに会えることを信じて…僕の言ったことを信じてそれに耐えてたんだ。
なのに、僕はその想いを叶えてやれなかった…!!」

涙混じりにそう訴えるリオの肩を、ショーンは優しく抱き寄せた。



「……わかったよ。
リオ、今は何も考えるな。
しばらくゆっくりしていたら良い。
……だけど、良かったよ。
今日、この村では大変なことがあってな…
おまえが悪魔に乗り移られたなんていう奴らもいて、心配してたんだ。」

その言葉に、リオははっとしたようにショーンをみつめる。



「リオ…どうかしたのか?」

「ショーン…そういえば、君は僕のことをすぐに気付いてくれたね…」

リオは自分で言ったその言葉に、どこか驚いたように視線を宙に泳がせる。
ショーンとの突然の再会に気を取られてすっかり忘れていたが、朝から人と出会う度におかしな反応をされていたことを、リオはその時になってまざまざと思い出したのだ。



「当たり前だろ。
幼馴染のおまえの顔を忘れるはずないじゃないか。」

「そうじゃないんだ、ショーン…
実はね……」

リオは、その日起こったおかしな出来事について、ショーンに話して聞かせた。


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