ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
魔法使いの沼地8






しばらくして、ようやく少し落ちついてきたリオは、ふと、あることを思い出す。
リオの顔を見て怯えた様子を見せたのは、村の者だけではなかったということを…



(まさか……!)

リオの頭にある推測が浮かび出し、それを確認するために、リオはあたりを警戒しながら洞窟を抜け出して近くの泉に向かった。
泉の縁に腰を降ろし、リオは静かな水面に目を凝らす。
水面に映る自分の顔は、血で赤く染まってはいたが、いつもの自分と少しも変わった所はなかった。
角度を変え、何度見なおしてみても、どこもおかしな所はない。
リオは、自分の推測が的外れだったことに小さな溜息を吐き、清らかな泉の水で額を洗った。
乾いてこびり付いた血を洗い流し、上着の袖で顔を拭う。
水面が静かになるのを待ち、再び映しこんだ自分の顔はやはりいつもと少しも変わってはいなかった。



(僕の顔はどこも変わっちゃいない…
なのに、どうして、皆はあんな風に…)

いくら考えても、リオにはその理由がわからなかった。
リオは、泉の水を両手ですくい、喉の奥に流し込む。
冷たい水の感触が、少しだけリオの気分を良くしてくれた。

今の状況をこのままにしておくことは出来ないが、村に戻ればまたさっきのようなことになるのは火を見るよりも明らかだ。



(……そうだ!この方法なら……)

考えた挙句、リオは皆が寝静まった頃に家に戻り、手紙を書き残す事を思いついた。



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