ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
エミリア12


「それだけじゃなかった…ちょうど同じ頃、大変なことが起きたの。
ミッシェルの体調がおかしくて心配してたら…ミッシェルは病気じゃなくて妊娠してたの…
父さんも母さんもとても怒って……でも、ミッシェルはどうしても相手の名前を言わなかった。
そして、それから数日後、ミッシェルは姿を消した。
同じ日に、アレックスもいなくなった…
ミッシェルのお腹の子は、アレックスの子供だったの。
……アレックスはね…私の初恋の人だった。
とても優しくてスポーツが万能で……ずっと憧れてた人だったの…」

「そうだったのか…それは辛かったね…
……それで妹さんは?」

「しばらくして、友達を通して二人の居場所はわかったわ。
でも、私はそのことを両親には言わなかった。
両親はそれから喧嘩ばかりするようになった。
母さんは酒場にばかりいるようになったし、父さんは畑仕事もなまけるようになった。
大好きだった釣りにも行かなくなったわ。
……うちにいても、誰も話さない。
皆が自分の部屋に閉じ篭もってる。
たまに話すとすぐに喧嘩になって…私の家族はもう壊れてしまったの…
そんな毎日に私は疲れて苛々してて…お店でお客さんにやつあたりをしてみたり…でも、そんなことしたって気持ちは全然晴れなかった。
……この前もね…母さんと喧嘩した所だったの。
ちょっとお客さんにきついことを言ってしまって…そしたら、母さんが言ったのよ。
あんたは元々可愛くないのに、そんな顔をしてたらますます酷い顔になるって…それで……」

エミリアは、両手を固く握り締め、小さく肩を震わせた。



「……エミリア…
今日の君はとても可愛かったよ。
やっぱり、女の子は笑顔が良いよね。
笑顔は、笑顔を増やしてくれる…
君が微笑んだら、周りの人も良い気分になって微笑むんだ。
そうやって、少しずつ笑顔を増やしていけば、君の家にもまた笑顔が増えていくと思うんだ。」

エミリアは、リオのその言葉に複雑な笑みを浮かべて頷いた。


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