ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
エミリア7


「……昨夜、母さんを見たでしょう?
綺麗だと思わなかった?
私とは然似てないでしょう?」

「え…?
……うん、そうだね。
美人だと思うよ。」

リオは、曖昧に答えながら、あまり関心を抱いていなかったエミリアの母親のことを思い出す。
彼女の母親は、酒場の女主人というのにぴったりな厚化粧の女だったが、その顔立ちは整ったものだった。
確かにエミリアと母親の顔は似ていないが、その声やずばずば言う口調はとても似ており、そのせいで二人の関係に違和感を感じなかったのだろうとリオは考えた。



「……私は、父親似なの…
小さい頃からずっと言われたわ。
母さんに似たら可愛かっただろうにって…
母さんはあんなにぱっちりした綺麗な瞳をしてるのに、私はこんなに細い目をしてる。
この目のせいで、意地悪に見られたりきつい子に見られてばっかりだった…
私のことなんて好きになってくれる男の子はいない。
誰も私に優しくなんてしてくれない。
……大っ嫌い!私はこの顔が大っ嫌い!」

エミリアは感情が高ぶったのか、その言葉尻は涙声になっていた。



♪〜♪〜〜



「レヴィ……」

ベッドの脇に停まっていたレヴィが、突然歌を歌い始めた。
歌を聞くエミリアの瞳には徐々に涙がたまり、こぼれ落ちた涙はやがて止まらない勢いで流れ続ける…
エミリアは苦しい息遣いにしゃくりあげながら、小さな子供のように泣き続けた。



(……レヴィったら、なんでこんな時にこんな歌を歌うんだ?
エミリアはあんなに悲しんでるのに、どうして?)

小声でラルフに耳打ちしたリオに、ラルフは失笑する。



(……おまえはまだ若いな…
レヴィの方がずっと大人だ。)

(どういうことだよ、それ!)

(さぁな…
それよりもそろそろおまえも自分のするべきことを考えた方が良いんじゃないか?)

(僕のするべきこと…?)

それを聞いた所で、ラルフが教えてくれる筈がないことはリオにはわかっていた。
何をすればエミリアが元気になるのかをリオが考えているうちに、レヴィの悲しい歌が終わった。

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