ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
エミリア8


(ほら、行けよ…)

ラルフの柔らかな肉球の感触が、リオの背中にそっと触れた。
リオは黙ったままで頷き、バッグから取り出したハンカチを手にエミリアの傍へ歩み寄る。



「エミリア……」

エミリアは俯いたまま差し出されたハンカチを受け取ると、そのままリオに背を向けた。



「あ…ごめんね…」

リオは、布の袋を頭からすっぽりかぶり、再びエミリアの傍に腰掛けた。



「エミリア…何か飲む?」

エミリアは黙ったまま首を振る。



「じゃ……」

「……ごめんなさい…もう大丈夫だから…
ハンカチは洗ってから返すわ。」

エミリアは鼻をすすりながら…だが、しっかりとした口調でそう話した。



「良いんだよ、そんなこと…
……それより、エミリア……実は、僕は、呪いを受けただけじゃなくて、その代わりに不思議な力を授かったんだ…」

「……不思議な力?」

エミリアは少し顔を上げ、上目遣いにリオの方を見た。



「……うん。簡単に言うと魔法みたいなもんだよ。
……君の悩みはよくわかった…
君にはお世話になったから、僕に魔法をかけさせてくれないかな?」

「……私に魔法を?」

やっと顔を上げたエミリアの前で、布袋をかぶったリオは深く頷いた。



「すぐに済むから目を閉じてじっとしてて……」

エミリアは、戸惑った様子を見せながらも、リオの言う通りに瞳を閉じる。
リオは、エミリアの顔に手を伸ばし、少し腫れた瞳を両手で優しく撫ぜた。



「……もう良いよ。」

「えっ?もう?
呪文を唱えたり、ロッドを使ったりはしないの?」

「僕にはそんなもの必要ないんだ。」

「ねぇ、リオ……なにがどうなったの??」

「君の悩みをなくしたんだよ。」

「悩みを……まさか…!?」

その興奮した声は、エミリアが今どんな表情をしているのか、布の袋をかぶったリオにも容易に推測することが出来た。


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